
神田須田町の交差点近く、ビルの1階には大型の天体望遠鏡がびっしりと並ぶ店舗がある。光学製品を取り扱う、ネイチャーショップKYOEI東京店だ。昭和34年(1959)に大阪で創業、昭和59年(1984)に東京店をオープンした。「約76年周期で地球に接近するハレ―彗星に日本中が湧いていた年でしたね」とそう説明してくれたのは、店長の蔦谷忍さん。蔦谷さんは高校で天文部に所属する、ザ・天文少年で、当時住んでいた飯田橋から、小川町にあった旧店舗によく通っていたそう。そしてこの会社に入社して24年になるという。

↑子どもの頃から好きだった天体望遠鏡の並ぶ店内。商品を扱う手先にも愛情がこもる。
今から数十年前、小中学校の入学祝には天体望遠鏡が定番だったが、時代は変わってしまった。客層の年齢は比較的高め。子どもの小遣いでは買うことができなかったが大人になり、夢を叶えるために望遠鏡を買いに来る。そんな人もいるという。「天文好きな高校生や大学生も来ますよ。今はネットでも買えるようになったけれど、ネットの情報だけでは分かりづらいし、10人いれば10通りのリクエストがある。細かなアドバイスや、後押しが欲しくて来店する人が多いですね」。と蔦谷さん。ここには、量販店などには置いていない製品もあり、軽自動車と同じくらいの価格のものまであるなど、幅広い品ぞろえが自慢だ。

↑奥のカウンターでは「観たい星」やご予算に合わせ、初心者にもわかりやすく丁寧にサポート。
「時代ともに望遠鏡も進化して、昔は見たいものを手動で探していたのですが、20年くらい前からは星を自動的に探してくれるコンピューターが内臓され、お目当ての星をデジタルカメラで撮影する楽しみ方になってきました。100~150倍の倍率のものなら、星を見ながら地球の自転を体感できますよ」。天体初心者なら、月のクレーターや、木星の縞模様、土星の輪を観察するのがオススメ。蔦谷さん自身は、望遠鏡で薄っすら見える星雲・星団を観測するのが好きなんだそう。「木星や土星よりもはるか遠くにあるので、スケール感が違うんです」。都心部でも街明かりを避けると星が見えるそうなので、天体観測に挑戦してみては。

←天体望遠鏡を手に。笑みがこぼれる観測ポーズ!
ANature Shop KYOEI・東京店
- 住所
- 東京都千代田区神田須田町1-5 村山ビル1F
- 電話番号
- 03-3526-3366
- 営業時間
- 10:00~19:00
- 定休日
- 日曜
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