
“ビリヤード“と聞くと、暗いバーの片隅で、黒服のハスラーがキザにキューを構える…
なんて姿を想像するけれど、ここはいうなれば昭和が香る“下町の球突き場”。窓の外を横切る中央線、壁に貼ってある色あせたポスター。白く光る蛍光灯の下で、普段着やスーツのお客さんたちがおしゃべりをしながら、和気あいあいとビリヤード台を囲んでいる。
なんて姿を想像するけれど、ここはいうなれば昭和が香る“下町の球突き場”。窓の外を横切る中央線、壁に貼ってある色あせたポスター。白く光る蛍光灯の下で、普段着やスーツのお客さんたちがおしゃべりをしながら、和気あいあいとビリヤード台を囲んでいる。

木の壁に古いポスターがなんともいいムード

1965年に創業した淡路亭だが、前身は100年以上前から神田淡路町にあったビリヤードホール。そこを引き継いだのが、代表取締役の前田裕義さんの祖父だった。「たしか淡路町の交差点のあたりだったと思いますが、『淡路町ビリヤードホール』というのがあったんです。祖父がそこを買って、その時に『淡路亭』という名前になりました。淡路亭の“亭”は“ホール”という意味なんですよ。1985年に『ハスラー2』という映画が公開された時には、ビリヤードブームが来てね。開店前から学生さんが店の前に並ぶほど、若い人がたくさん遊びに来たそうです」。

淡路亭の三代目となる代表取締役の前田裕義さん
ここでぜひ挑戦したいのが「四つ球」という穴のないビリヤード。「赤・白・黄の4つの球を使い、手球を球に当てることで得点を競うゲームです。いまでは珍しいですが30年前まではこれが主流で、昔を懐かしんで喜んでくださるお客さんも多いです」と話すのは、ビリヤード歴15年のスタッフ・酒井さん。ビリヤード場には彼女のようなスタッフが常駐していて、キューの持ち方から教えてくれるので、初心者でも安心だ。実際にやってみると、だんだんと上手く打てるようになるのが楽しくて、これはハマりそうな予感。上級者になると酒井さんに勝負を挑む強者もいて、彼女も「喜んでお受けしますよ」と腕まくりして挑戦者を待っている。

ナインボール・ゲームで酒井さんに挑戦。最初のブレイク・ショットから実力の差が…
前田さんはビリヤードの面白さをこう語る。「頭を使うところですね。球を突く場所や回転、どういう動きをさせるか考えながら打ちますから。でも体力はそこまでいらないし、ポケットは5・6人でわいわい楽しむことも出来るので、気軽に始められるスポーツ。神田はサラリーマンと学生の街なので、仕事や勉強が終わった後にちょっと立ち寄って遊べる場所として、これからもかわいがっていただければ」。今日もレトロなビリヤード場に、「カーン」という球突きの小気味よい音が響き渡っている。

ポケットは手球と1~15番の番号がついたボールで遊ぶ

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