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日替わり店長制のお店「爬虫類館 分館」で、とある金曜日に見つけたホンモノの居心地良さ。

good mornings

公開日 2017年12月23日

古い物件を利用して営業するお店が数多く存在する墨田区。8年前にセルフリノベーションで作り上げられたカフェ「爬虫類館 分館」もその一つ。店名も不思議ならその営業スタイルも日替わり店長制と実にユニーク! そして何より居心地良いのです。

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ちょっと身構えたくなる店名ですが、扉を開けると、想像していたよりもずっと落ち着けそうなカフェ。そしてヘビやカメレオンはいません。のっけからツッコみたくなります。

テーブルや椅子の形は統一されておらず、むしろまちまち。そんな手作り感のある店内にしばらくいてふと気づくのは、ここには常にゆったりとした空気が流れているということ。会話もBGMが切れても全く違和感をもよおさないくらい。
そして何よりお店のマスターのこと。ことさらにマニュアル的な話し方や受け答えをするのとは全く真逆で、初対面ながらも生身の人としてコミュニケーションしてくれるのです。このリラックスした空気は、この人の存在によるところが大きいのでしょう。
その人の名は、吉田 宰(つかさ)さん。今から3年前にこの「爬虫類館 分館(略称はBUNKAN)」を引き継いだ、若干27歳の2代目オーナーです。

BUNKANは、なんと曜日ごとに店長が異なるというユニークなお店。毎日別の店長が各自別々のメニューを提供するのです。ベーグルサンド、オムライス、稲庭うどん、日本そば、ワインと家庭料理、トマトパスタ等々。オーナーの吉田さんは全体のコーディネイトと管理サポートをしながら、自身も金曜日の店長としてスパイシーカレーやワンプレートランチを提供しています。
「週イチのお店を中心に、中には月イチのお店もあったり、という具合です。保育士さんが本職のかたわらで月イチで親子カフェをやったり、アパレル系の方が作品を展示するカフェギャラリーをやったり」。
「どの店長も別に本業や本職を持っていて、ゆくゆくは自分のお店を持ちたい人が、店の運営の勉強として一日店長をしていたり、本職で売っている販売アイテムの売り場として活用しながら店長をしている人もいたりと、動機やアプローチもそれぞれ。本職が「本館」とするなら、ここの店長としての仕事は「分館」みたいな位置付けです。後づけですけど(笑)」。
そもそも「爬虫類館 分館」という店名は、吉田さんいわく「創立メンバーが『字面や響きがなんとなく面白かったのでそうつけた』らしい」です。

店長が日替わりするさまをカメレオンになぞらえたのかどうかすらも今ひとつはっきりとしていないのですが、「爬虫類館」だけで終わらせず「分館」とまでつけてしまうあたり、感覚的な判断の中にも確としたこだわりがあったもよう。
吉田さんが店長の日にいただけるカレーは、実家の農園で育ったオーガニック野菜などを使用した、ヘルシーで彩りも美しい一皿。
ちなみに下の画像は、オーダーして待っている間に、なにげにテーブルの引き出しを開けてみて見つけたオモチャ、ゲーム、プラモなど。「それ、子ども用に置いてますけど、意外と大人も楽しめますよね。昭和っぽいやつばっかりですし」と吉田さん。
かつてどこの誰のものだったのかも知らないけれど、縁あって今こうしてこのお店で活躍している、おもちゃたち。その佇まいに何だかキュンとしてしまいます。

また天井を見上げたときの木の古さが気になって聞いてみてわかったのは、驚くなかれ、この物件は築95年もの歴史を誇るということでした。日常使いされている建物としては、なかなか耳にする数字ではありません。
改めて店内を見渡すと、ひとりカレーライスを夢中になって食べているお婆ちゃん、カウンターで黙々と読書にふける人、地域の子どもと一緒になってけん玉に興じる大人…と、思い思いのひとときを過ごすお客さんたちの姿。

学校帰りの小学生がなんの気なしにお店のドアを開けて「いま帰るとこ!」と言えば、吉田さんが「お~、元気か」なんてサラッと答える一幕もあったり。

はたまた近所の方から、羽田で釣ってきたばかりのアジのおすそ分けがあったり。
このお店が地域に溶け込んだ存在であることがよくわかるというものです。

「このカフェには、小学生から80歳代の方まで幅広い層のお客さんたち、それにいろんな店長たちとの出会いやつながりがある。自分がここにいられて良かったなと思います」という吉田さん。その口調からは、周囲のあらゆる人々に対する暖かな想いがにじみ出ています。
こんなにも各自がのびのびと過ごしているなんて、初めての人にはちょっとユニークに映る光景。でもそれがごく自然に展開される様子から気づかされるのは、「居心地よい時間を過ごすってこういうことなのでは!?」 ということ。そんな金曜日の爬虫類館 分館なのです。

さて、今度また別の曜日にもお邪魔したくなってきました。
(文:牧野雅枝)
(撮影:大塚秀樹)

爬虫類館 分館

住所
東京都墨田区京島3-17-7
最終更新日:2017.12.21
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※紹介されている情報は、記事公開当時の内容となります。
※飲食店情報の平均予算は、食べログの店舗基本情報を引用しています。