ちくわ。 おでかけ情報

墨田スタジオネットワークに垣間見る、町とアートの共生関係。

good mornings

公開日 2018年2月2日

表立っては知られてはいないものの、実は建築やアートなどの作家活動が盛んな墨田区。古びた昭和的味わいを今に残すまちかどで、地に足のついたものづくりをする作家たちによるアトリエやスタジオが各所に点在しているのです。

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この地域を知らない人にとっては意外かもしれませんが、実は墨田区はアーティストによる活動が盛んなエリア。戦時の空襲で奇跡的に焼け残り、その後も連綿とこの町で歩みを重ねてきた民家がいっぱいある向島、京島エリアを中心に、古い物件を利用したアトリエやスタジオが各所に点在しています。
時代の紆余曲折の中、市井の人々の暮らしはここで、絶えることなく積み重ねられてきた、そんな匂いがするこの町に感化されたのかどうか、ともあれ外部から訪れたアーティストがこの町を気に入りアトリエを構えるようになる事例が、20年ほど前からごく自然発生的に起こり始め、今やその数は多数にのぼります。

そんなこの地域で、有志のスタジオやアトリエが参加する「墨田スタジオネットワーク」によるオープンスタジオツアーが昨年11月に開催、アトリエ/スタジオを多数訪れることができましたので、以下にちょっと紹介します。

sheepstudio

築80年の木造建築の中に広がる写真スタジオ。かつゲストハウスも兼ねており、ここを訪れる世界からの旅人にとっての墨田のローカルライフとアートを伝えるインフォメーション・センターをめざしています。
もう一点、sheepstudioがユニークなのは、今でも継続的に増改築されていること。時には、大工、左官屋、建築を学ぶ学生などを外部から迎えて、みんなで版築作業をする「オープン・リノベーション」も実施されたり。自らの手で建物をリニューアルすることができるなんて、貴重な経験ですね。

sheepstudio

住所
東京都墨田区京島3-20-9
最終更新日:2018.2.5
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複合三軒長屋・旧邸/となり製作所

旧邸はレジデンススペース、ゲストルーム、食堂、アトリエ、イベントスペースなどを備えた空間。アトリエにあたる「となり製作所」は旧邸の中央正面に位置するスペース。金属加工を扱う町工場が運営するシェア・アトリエです。

生活空間としての側面の強い旧邸。下の写真では、テーブルの向こうに、インターンでこの街に滞在中という台湾の女性の姿が。お料理の最中でした。
そして下の写真が居間。
その右向こうにある庭は、広く墨田区全体で行われる「すみだジャズストリートフェスティバル」の会場のひとつとしても活躍。一見、なんの変哲も無い庭のようですが、奥にあるグレーの民家の壁面にプロジェクターで映像を投影し、それをみんなで鑑賞する、なんていうイベントの会場になりました。
ご近所さんの理解なしには成り立たない催しです。

そしてこちらが「となり製作所」、アーティスト・イン・レジデンスならぬ「アーティスト・イン・ファクトリー」とでもいうべきスペースです。
この日あったのは「まちかど図工室」というイベント。アナログなモノに触れる機会がめっきり少なくなった今の子どもたちのためにと、自転車を解体し、その過程でねじ回しの右左の区別など、基本のキを学んでもらおうという企画です。

複合三軒長屋・旧邸/となり製作所

住所
東京都墨田区八広2丁目45−10
最終更新日:2018.2.5
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spiid(スピード)

キュレーターとアーティストが二人三脚して1年前に始めた、本人たちの住まい兼アトリエ。取材した当日は、多種多様なアーティストが出展するアートブックの展示会「Sumida ArtBook Market」が開かれていました。これからはシェアオフィスへの転用も検討中。書籍の他に展示されているものの中には、近隣のスタジオやセルフリノベーションしたカフェなどで発生した不要物を生かしたインテリアも多数見られます。
80年代のテクノ系アイドル歌謡のレコードをBGMに、視覚的/聴覚的/身体感覚的に、何かジワジワとした刺激を感じる空間です。

spiid(スピード)

住所
東京都墨田区京島3-30-6
最終更新日:2018.2.5
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デトロイトコーンクラブ

アメリカにある、あの自動車の街・デトロイトを感じさせる要素は皆無ですが、「響きが愉快で、意味のない名前にしたかった」とは、ここをアトリエに活動するペインター・鳴海テヨナさん(写真右)ご本人の弁。
基本的にはアトリエとしての使用ですが、イベントや展示も行っています。この日は「メルカリコレクション展」が開催されていました。メルカリで購入した商品だけでなく、購入時のスマホ画面のスクリーンショット付き、という展示です。

デトロイトコーンクラブ

住所
東京都墨田区京島3-30-7
最終更新日:2018.2.5
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あをば荘

集合住宅の一部を改装し、2Fは住宅、1Fは美術や演劇をはじめ、様々な分野にまたがる8名のメンバーがコンテンツを企画/発表するスペース「あをば荘」。
この日展開されていたのは「片子」のインスタレーション。暗めの空間に陳列される人形作品と映像などの展示が幻想的です。心理学の箱庭療法と日本の「村八分」的社会の類似性を説く内容でした。
元は和菓子屋さんだったからか、空間のド真ん中に水道の蛇口があるという物理的制約のあるこのスペース。でもそれを逆手にとって、蛇口から出る水を使って流しそうめんイベントを行うなど、町の過去の記憶を呼び起こすコンテンツに仕立てたこともあるそう。この町ならではの創意工夫です。

あをば荘

住所
東京都墨田区文花1-12-12
最終更新日:2018.2.5
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float

プレス工場を、入居メンバーでもある建築ユニット「スタジオまめちょうだい」が主体となって改装し出来上がったシェアアトリエ兼ギャラリースペース。英語の「float」の意味のごとく、あらゆるものがここへ漂着したり、また逆にここから流れていく、そんなコンセプトの空間です。
元はプレス工場だっただけに、ここは空間的な規模も大きめ。ガレージ、共有スペース、制作スペース、ギャラリーなどが一つのフロア内に間仕切りを挟みつつ広がっています。

現在は9名のメンバーが、廃材や粘土など、各々に異なる素材やアプローチで制作/展示をおこなっています。この日展示スペースにあったのは、新しく加わったメンバーの手による、自分自身のプレゼンテーションを兼ねての作品たち。
その他、遊びとして楽しみながら、墨田のまちへの親近感がいっそう湧くような、そんな地域愛のある手作りボードゲームのワークショップも。もちろん、すべてがfloatのメンバーによる手作りです。

float

住所
東京都墨田区文花2-6-3
最終更新日:2018.2.5
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まちというコンテクストを踏まえたアートのあるまち、墨田

雨天の影響もあり、この日巡ることができたのは上記6スポットのみ。このほかにもまだまだユニークなスペースがたくさんあります。イベントや店舗として訪問できるチャンスがあるので、併せてぜひ体験しておきたいところです。

まちやコミュニティと連続した存在としてのアート的取り組みがひろがる墨田のまち。
地域に根ざしたこれらのオルタナティブな活動の数々は、遊び心にあふれた、本質的に豊かなコミュニケーションを日々このまちで育んでいるような気がします。

(文:古谷大典)
(撮影:大塚秀樹)

この記事で紹介したスポット

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※紹介されている情報は、記事公開当時の内容となります。
※飲食店情報の平均予算は、食べログの店舗基本情報を引用しています。