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おにぎりの概念が覆る食体験。浅草の老舗おにぎり専門店「宿六」

good mornings

公開日 2018年4月1日

日本を代表する国民食の一つである「おにぎり」。自宅やコンビニでも気軽に食べられる身近な存在であるおにぎりを、職人の技と知恵をもって、極限にまで美味しく食べさせてくれる専門店が浅草にあることを皆さんはご存知でしょうか?

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奥浅草

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浅草寺や雷門など、定番の浅草観光エリアからは少し離れた言問通り。その通り沿いに、1954年創業“東京で一番古い”おにぎり専門店「宿六」はあります。
白い暖簾をくぐり、店内に入ると、そこはさながら寿司屋の佇まい。目に入るのは、具材が並んだショーケースとカウンター、筆書きで掲げられたネタのお品書き。無用な装飾を削ぎ落とし、凛と構えたその空間が、こちらにほどよい緊張感を与え、おにぎりへの期待感を否が応でも高めてくれます。
席に座り好きな具材を選んで伝えれば、店主がその場で颯爽とにぎって、出来立てホヤホヤのおにぎりを食べさせてくれます。お酒も注文できますが、あくまでも主役はおにぎり、お酒は一人一杯までと決まっています。

観光地の喧騒から距離を置き、しばし時間をせき止めて、目の前に供されたおにぎりの味をじっくりと堪能する、そんな下町ならではの粋なお店です。
おにぎりのネタは、「さけ」、「こんぶ」、「いくら」、「梅」、「おかか」、「たらこ」など、創業からの定番ラインナップを軸に、「荏胡麻」や「ツナマヨ」など、期間限定のネタが店主の気分次第で登場します。
さっそく一番人気だという「さけ」を注文。ほどなく炊きたての新潟県産コシヒカリを使ったおにぎりがお目見え。パリッとした海苔の食感に続いてフワッと広がるお米の口当たりと上品な甘みに驚きます。米が一粒一粒押し潰されることなく柔らかな空気のようなまとまりで、海苔の旨味とさけの塩気を優しく包み込みます。
この絶妙な軽やかさは、おにぎりに対する固定観念が覆るような食体験といっても言い過ぎではないでしょう。常連さんの中には、一度の来店で10個以上食べて行く人も珍しくないという話にも納得です。
3代目店主の三浦洋介さんに、お店の歴史やおにぎりへのこだわりを伺いました。

1954年の創業当初、浅草は現在でいう渋谷や新宿のような東京随一の繁華街。芸事や夜遊びの後に小腹を満たすシメのお店として三浦さんの祖母がおにぎり屋を始めたそうです。当時の営業時間は17時〜深夜3時までだったそうで、その頃の浅草の活気もよく伝わってきます。
「おにぎり屋にしたのは単純な理由ですよ。深い意味はなくて、日本人でおにぎり嫌いな人いないでしょ?老若男女だれでも食べられる。シンプルで何を具材にしてもよい自由さがあって、しかも食べると安心感も得られる。これはビジネスチャンスがあると思ったのではないですか。」
三浦さんがお店を引き継いだのは8年前。それこそお店に立つまで先代の傍に付いて長い修行を積んできたのかと思いきや・・・。

「修行はまったくしてないんですよ。というか、生まれた時からおにぎり屋の息子なんですよ。いわゆるおふくろの味が、僕にとってはこのおにぎりの味だから。おにぎりに対して30年近くの舌の蓄積があるので、それで十分。いわば、おにぎり界のサラブレッドなんですよ、ハハハ」と拍子抜けな答えが屈託のない笑顔と一緒に返ってきました。
とはいえ、幼少期からの感覚だけで、ここまで完成されたおにぎりを作れる筈はありません。そこには、三浦さんが日々おにぎりと対峙する中で確立した独自の“おにぎり理論”がしっかりとあります。

おにぎりの美味しさを最大限に高めるためには、おにぎりを構成している「米」「海苔」「具材」3つの要素の関係性を正確に見極めることが肝心だと教えてくれました。

「この3つの要素の中で、実は一番存在感が薄いのが米なんですよ。具材は味がしっかりしているのは当然として、海苔だって旨味の固まりですよね。米だけは、やっぱり味が薄くて、その幅も狭いんです。だから選んだ米の味を軸に全体のバランスを組み立てていかないと美味しいおにぎりにはならないんですよ。最高級の海苔を使ってしまえば海苔の存在感が勝っちゃって全体の味わいは崩れる。具材だって味の濃淡でその量を微調整する必要があるんですよ」

シンプルな作りとはいえ、素材と組み合わせの匙加減一つで味わいが大きく左右される奥深い料理なのです。当然、肝心のにぎり方にも美味しさの極意が詰まっているわけなんですが、そこを詳しく触れるのは野暮といったもの。

三浦さんはおにぎりに関するワークショップや教室も不定期で開催しているそうなので、美味しいおにぎりの作り方に興味ある方は是非とも参加して頂き、直接教えを乞うてみて下さい。

まずは、愉快な店主が立つカウンターの前に座って、極上のおにぎりの味を噛みしめ、その深遠な世界に浸ってみてはいかがでしょうか。

(文:上田太一)
(撮影:鈴木優太)

おにぎり浅草宿六 (あさくさ やどろく)

住所
東京都台東区浅草3-9-10
電話番号
03-3874-1615
営業時間
11:30~17:00、18:00~翌2:00(シャリが無くなり次第閉店)
定休日
昼:日曜日、夜:水曜日
平均予算
【夜】¥1,000~¥1,999 【昼】~¥999
最終更新日:2017.6.6
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※紹介されている情報は、記事公開当時の内容となります。
※飲食店情報の平均予算は、食べログの店舗基本情報を引用しています。

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