
浅草駅から馬道通りを北上すること3分。浅草2丁目の交差点を浅草寺側に曲がったすぐのところに「夢屋」はあります。創業は1984年、この地で34年間も営業を続けている、浅草有数の老舗インドカレー店です。

木を基調とした喫茶店風の店構えはどこか懐かしさを覚え、気軽に入店しやすい雰囲気。店内は年季を感じさせない清潔感のある内装で、ほのかに漂うスパイスの香りが食欲をおおいに掻き立てます。

メニュー構成が独特で、ベースとなるカレーの味を「カリー」と「マサラ」の2種類から選ぶことができます。「カリー」はスープカレーのように汁気のあるサラッとした口当たりが特徴で、「マサラ」は野菜とスパイスを中心にトロッとした濃度があるカレーです。ベースのカレーを選んだら、具材に応じて「チキンカリー」や「ホウレン草カレー」、「ベジタブルマサラ」など、お好みのカレーをオーダー。辛さは中辛、やや辛、辛口、極辛の4段階から設定できます。

まずは、創業以来、お店の定番として君臨し続けているという「チキンカリー」を注文。インドカレーというイメージからは想像できない優しい味で、少し遅れて複雑なスパイスの風味がやってきます。臭みのない国産ひな鳥を使ったお肉もホロホロとほぐれ、カレーによく溶け込み絶妙な味わいです。

特筆すべきは、スパイスと一緒に炊き上げているというライス。沸騰したお湯にカルダモン、シナモン、ベイリーフ、クローブのホールスパイスを入れ香りを移し、そこにお米を入れて茹で上げ、仕上げはオーブンに入れて水気を飛ばすという手の込みよう。パラパラと香り高いライスは、インドカレーの旨味をさらに引き立ててくれます。

続いて「ベジタブルマサラ」。こちらはタマネギやトマトなどの野菜の甘みとコク、そしてスパイスの程よい辛さが心地よく調和した中毒性の高いカレーです。しっかりとした味わいなのでライスだけでなくナンとの組み合わせもおすすめです。

時折、付け合わせの玉ねぎや大根の酢漬けを食べ挟むと、ほどよい口直しになり、その先もより一層カレーの美味しさを楽しむことができますよ。

30年以上もこのお店の厨房に立ち、カレー愛好家を魅了し続けているのが、店主の守護(しゅご)雅彦さんです。浅草生まれ、浅草育ちの生粋の浅草人。子供の頃から好きだったカレーを追求しているうちに本場インドカレーの魅力に取り憑かれ、インド料理屋で修行を積んだのち、27歳の時に地元浅草でお店を始めました。
「当時は、インドカレーなんて誰も知らなかったし、そもそも浅草にカレー屋自体ほとんどなかった。最初は大変でしたね。サラサラしすぎていて、こんなのがカレーなの?と言われることも多かった。スパイスを仕入れるのもひと苦労で。それでも続けているうちに少しずつリピーターが増えてきた感じですかね」
周囲の声や反応に左右されることなく、頑に自分の好きなインドカレーにこだわったことで、その美味しさが次第に理解されるようになり、いまや毎日同じカレーを食べにくるという常連さんも多く、定年や転勤などで浅草を離れたにも関わらず、わざわざ来店してくれるお客さんもいるほど、守護さんのカレーは多くのファンに愛されています。
「当時は、インドカレーなんて誰も知らなかったし、そもそも浅草にカレー屋自体ほとんどなかった。最初は大変でしたね。サラサラしすぎていて、こんなのがカレーなの?と言われることも多かった。スパイスを仕入れるのもひと苦労で。それでも続けているうちに少しずつリピーターが増えてきた感じですかね」
周囲の声や反応に左右されることなく、頑に自分の好きなインドカレーにこだわったことで、その美味しさが次第に理解されるようになり、いまや毎日同じカレーを食べにくるという常連さんも多く、定年や転勤などで浅草を離れたにも関わらず、わざわざ来店してくれるお客さんもいるほど、守護さんのカレーは多くのファンに愛されています。

それにしても、時代の波に抗えず昔ながらの個人商店が大型チェーン店に取って換わられることが多い浅草で30年以上もカレー店を続けていける理由は何でしょう。
「そうだね〜。よく分からないですけど、何か新しいことやってやろうとか、変わったことに挑戦しようとか、そういうことを全く思わなかったからですかね。メニューもずっと変えていないし。最初からインドカレー以外はやらないって心に決めていたんです。そしたら30年以上も経っていましたね。笑」
淡々と物静かな語り口ながらも、その言葉の端々に強い信念を感じさせる守護さん。揺るぎないインドカレーの美味しさ、ぜひ浅草で味わってみて下さい。
(文:上田太一)
(撮影:鈴木優太)
「そうだね〜。よく分からないですけど、何か新しいことやってやろうとか、変わったことに挑戦しようとか、そういうことを全く思わなかったからですかね。メニューもずっと変えていないし。最初からインドカレー以外はやらないって心に決めていたんです。そしたら30年以上も経っていましたね。笑」
淡々と物静かな語り口ながらも、その言葉の端々に強い信念を感じさせる守護さん。揺るぎないインドカレーの美味しさ、ぜひ浅草で味わってみて下さい。
(文:上田太一)
(撮影:鈴木優太)