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二年に一度の、神田の町の風物詩。「太田姫稲荷神社 例大祭」

good mornings

公開日 2018年6月26日

神田っ子の誇りを胸に、まちの人びとが大挙して神輿を担ぐ熱狂の一日。太田姫稲荷神社 例大祭の盛り上がりぶりは、通りすがりの通行人のこころをもすっかり祭りモードに変えてしまいそうなくらいです。

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祭。おみこし。最大級のハレの日。神田に在住/在勤する大勢の人びとが神輿を担ぎ、まちを練り歩く特別な一日が二年ぶりにやってきました。5月13日の日曜日、神田のまち有数のお祭り・太田姫稲荷神社の例大祭がとり行われたのです。
江戸三大祭りのひとつ・神田祭は有名ですが、それと毎年交互に行われるかたちでいわばペアをなしているこの祭もまた、地域にとっての一大行事。太田姫稲荷神社は、地域外ではあまり知られていないものの、実は神田明神や上野の寛永寺と並び、江戸城の鬼門を守る寺社としてとても重要な、実に霊験あらたかな存在なのです。
午前8時過ぎ、神主のおごそかな祈祷のあとで、神輿は社を発ちます。室町時代に関東で権勢を誇った太田道灌(どうかん)が、天然痘にかかった娘の快癒を祈願し効果が得られたという京都の一口(いもあらい)稲荷神社を勧請して江戸の地に築いた…この神社のもつ、そんな由緒ただしきルーツに胸の奥底で思いを馳せつつ、氏子たちはこの場所から、神さまのご加護を地域一帯にあまねく広めていきます。
「なんてったって祭りだもの、江戸っ子の血が騒ぐってもんだい。」そんな思いがここぞとばかりに発散される現場の雰囲気。そのあふれんばかりのエネルギーがもつ吸引力というべきか、通りすがりの地域の人や買い物客、観光客の目線をしばし釘付けにしていきます。
神輿を上下に揺さぶりながら歩くそのリズムを「えいや! そいや!」の掛け声で各人調子をあわせつつ、三十分、一時間と続けているうちにやってくる肩の痛み。苦しみ悶える気持ちと「(それでも)元気出していこー!」の気持ちもないまぜになった、不思議な感情の高ぶりは、まさしく祭りならでは。

この祭りでは、太田「姫」とつくだけあって(もちろん件の由来も含め)、神輿や楽隊を含めた一行の先頭で高張提灯(ちょうちん)を掲げて歩くのは、みな女性。
神田祭とこの例大祭を陰陽思想的に男女にふりわけた場合、例大祭の方は女性の出番、ということで、この地域に住む大学生など6名がこの日ならではの衣装に身をまとい、大役を担う誇りとともにキリッとした面持ちで一歩、また一歩と確かな足どりで一行をリードします。
一行はまず南下、靖国通りを超えて神田錦町や小川町のオフィス街エリアを練り歩き、正午に一度神社に戻ったのち、午後になると今度は北上、明大通りと駿河台を経由して御茶ノ水駅まで足を伸ばし、ニコライ堂を横に見て本郷通りを下り、道灌通りに入り神社に戻ってくるかたちで巡行します。その距離、およそ4.5km。
その道中で目にする光景は、そのいちいちがちょっと新鮮です。林立するオフィス街でも、明治大学キャンパスでも、楽器屋さんが軒を連ねる明大通りでも「いつものまちなのに、いつもと違う」ように見える特別感があってなんだか感慨深い気持ちになります。
都内有数の目抜き通り・靖国通りですら、車が交通整理でいっとき止められ、神輿がその交差点をぐるりと周回するさまは壮観で、時代を超えて受け継がれるこの祭りというものへの畏敬の念を感じずにはいられません。
全巡行の行程を通じて、見た目のインパクト面でいちばんのハイライトと言えそうなのが、御茶ノ水駅。総監督を乗せた神輿がなんと駅舎の中にまで入り、改札の目の前まで押し寄せ、折り返すのです。「(神輿の鳳凰が)天井に当たりやしないか。危ない! 危ない!!」というドキドキが入り混じった興奮。ゴジラが街を破壊するのともまた違えど、非日常感が如実に感じられる瞬間です。
つかの間、祭り衆に占拠されかけた(?)このカオスな状況で、いつも通りJRに乗るために駅に入ってきた人も、日常と祭りがわかりやすい感じに同居する様子を面白がりつつ、ここを通り過ぎていきます。ちなみに駅長さんが総監督をお出迎えして握手する一幕もあったり。

あいにく午後の後半からは本格的な雨に見舞われましたが、それにも負けじと煮えたぎるような熱狂で行脚は続けられ、16時半ごろ無事に元の場所へ。始まりから数えて都合8時間にわたる二年に一度の一大巡行でした。
氏子としての仲間同士、神さまのちからが地域全域に行きわたるよう、力を合わせて神輿を担ぎ、練り歩いた苦労と喜び。その記憶をわかち合いつつ、神田の人々の明日はまた始まります。

「悪天候で子ども神輿を取りやめることになったのが心残りだけどね。でもそのぶん大人たちで頑張ったからね。雨はあったけれど終始無事に終えられて、よかった」と今回の例大祭開催をとり仕切った井田洋二さん(下記画像左)も安堵の表情。
諸人こぞって熱狂した太田姫稲荷神社 例大祭。巡行中の祭り囃子のごとく、神田のまちの幸せもまたエンドレスで続きますように…。

(文:古谷大典)
(写真:丸山智衣)

太田姫稲荷神社

住所
東京都千代田区神田駿河台1-2-3
最終更新日:2017.8.10
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※紹介されている情報は、記事公開当時の内容となります。
※飲食店情報の平均予算は、食べログの店舗基本情報を引用しています。

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