ちくわ。 おでかけ情報

浅草橋駅から歩いて5分の水辺ろまん。水面きらめき 船はゆく

good mornings

公開日 2018年8月5日

浅草橋駅のすぐ南の神田川沿い。隅田川に合流する手前の河岸には、江戸の昔風情を色濃く残す船屋が軒を連ねています。東京が持つ水都としての魅力に気づかされる素敵な眺めと味覚が、ここにはあります。

浅草橋駅
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駅を出て南へ進むとほどなくして突き当たる浅草橋。その下を通る神田川沿いに左手をゆけば、眼下に広がるのは年季の入った木造の建物がまばらに続く光景。そのそれぞれのふもとには船が停泊しています。
橋の上の世界とはあまりに異質な、昔懐かしさをもよおすその眺め。水面が太陽の光を反射してきらめくようすには、どこへと問われても困るものの、旅ごころさえ芽生えてしまいそう。

隅田川に合流する直前の柳橋まで、距離にして50メートルほどに渡りこうして点在する木造の建物は、船遊びができる船宿(ふなやど)。その中の一つ「季節の佃煮 小松屋」は江戸みやげ・佃煮の販売も兼ねており、現代に生きる私たちが忘れかけて久しい、水都・東京的なアイコンがもっとも充実しているお店と言えるかもしれません。
「季節の佃煮 小松屋」四代目の秋元治さんは、古くは橋の名前と同じく「柳橋」と名付けられていたこの界隈に伝わる文化の保全・伝承に人一倍意識的。このお店の始まり自体、明治14年と非常に古く、以来140年近くにも渡り神田川の水のせせらぎ、そしてこの界隈がかつて花街として名を馳せた時代の記憶と共に、今もこうしてこの地に在り続けています。
正面左手の柳橋ともども、実に絵になるその店構え。

お店に代々伝わるアルバムの写真に収められているのは、まさしくその時代の柳橋。欄干から隅田川を望む二人の男の片方はちょんまげ姿、もう片方が散切り頭であるのというのも、当時の世相を典型的に表していてなるほど、です。

目の前に広がる光景と文字通り重ね合わせて見ることができるだけに、当時のようすに思いを馳せずにはいられないというもの。ノスタルジー、ここに極まれり。
お店の軒先には、葉っぱがさらさらと心地よい音を立ててゆらぐ柳の木、そして季節の草木もいろいろ。入谷で朝顔市があれば即買ってきてこの場所に飾る秋元さんは、民衆の間で園芸がごく身近なものだったという江戸の都市文化の正当な後継者と言えましょう。
このお店が出す船は、積載人数が最大で10人ほどというコンパクトな「釣り船」。他の多くの船宿が出す「屋形船」の場合、何ヶ月も前から予定を入れておく必要があったり、また人数的にも最大約50人と、得てして肩肘張ったイベントになりがちなのとは対照的に、こちらは顔の見える者同士、思い立ったら気楽にさっと乗り込み夜風に吹かれる、そんな「粋」な楽しみ方が期待できるのです(憧れる…)。
お花見シーズンには隅田川に出て南下し、深川方面の大横川まで出かけるコースで風情たっぷりに桜を愛でることができるとのこと。なおあの隅田川花火大会の際には、厩橋のあたりなどで待機し急病人が出ればそのケアにあたるという、救護船としての活躍の機会も。
「幸い急病人が出なかった場合、場所的には特等席の状態で花火が楽しめる」とのこと。秋元さんならではの役得、羨ましい限りです。

店頭に並ぶ佃煮は、昔ながらの製法で作られた本物の江戸前佃煮。味は濃いめで、白いご飯やお酒のお供に、またお茶漬けにしても○。生あみや小えび、手切り昆布といったスタンダードものに加え、その時々で季節限定ものも。7月であれば、あさり、穴子、しらす、きゃら蕗など。その色合い、また紐で結ばれたルックスが醸し出す雰囲気も含めて、手軽な江戸みやげとして良さそうです。
夕暮れ時が近づいた柳橋には、これから船遊びに興じると思しき人影もちらほら。こんなアフターファイブの過ごし方があるだなんて、初めて知った人にとってはまさに目から鱗モノ、無性に真似てみたくなる「大人のたしなみ」ではないでしょうか。出航はいつも18時ごろのもようです。
ちなみに橋の上で足元を注意深く見ると、欄干にこんなかんざしのあしらいも。かつてこの場所に花開いた花柳界の記憶を、こんなもの言わぬちっちゃなモノに託して今につなぎ留めるこのやり口、実に奥ゆかしいです。
ちなみに柳橋のすぐ向こうの隅田川テラスは、最近耐震工事を終えて足を踏み入れることができるようになったばかり。神田川が隅田川に合流するまさにこの場所から、乗客を乗せた船が出航するようすを近くで見るのもまた一興、です。
神田川よりひと回りもふた回りも大きな隅田川。視界に大きく広がるその水のゆらめきは、見ているこちらの心のコリを解きほぐしてくれるよう。もっと知られても良いはずの、東京の素敵な水辺風景です。

ここから、船は南へ向かいます。
(文:古谷大典)
(写真:丸山智衣)

柳橋 小松屋

住所
東京都台東区柳橋1-2-1
電話番号
03-3851-2783
営業時間
佃煮販売持ち帰り 平日 9:30~18:00 土曜日 9:30~17:00 貸切釣り船 朝6時~夜7時まで出船
定休日
日・祝日 臨時営業あり
最終更新日:2018.8.31
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※紹介されている情報は、記事公開当時の内容となります。
※飲食店情報の平均予算は、食べログの店舗基本情報を引用しています。