俳人・正岡子規が居を構え、歌を生み出した「子規庵」へ
1894年(明治27)から、正岡子規が病室兼書斎、句会・歌会の場として居を構えたのが、「子規庵」です。当時根岸には正岡子規の他、饗庭篁村(あえばこうそん)ら根岸派と呼ばれる多くの文人が住んでいました。ここ「子規庵」では頻繁に句会が催され、森鷗外や夏目漱石も同席したといいます。
関東大震災の大火から免れ、昭和元年に大規模復元工事が成されたものの、1945年(昭和20)の空襲で焼失。現在の建物は1950年(昭和25)に寒川鼠骨(さむかわそこつ)らの尽力によって復元されたものになります。1952年(昭和27)には東京都文化史蹟に指定されました。
出典:
子規はこの場所から庭の植物や虫たちを眺め、句に詠んだといいます。窓の外を子規の気持ちになって眺めてみるのも一興ですね。
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- 住所
- 東京都台東区根岸2-5-11
- 電話番号
- 03-3876-8218
- 営業時間
- 10:30~12:00(受付は11:40まで)、13:00~16:00(受付は15:40まで)
- 定休日
- 月曜(祝日の場合は翌日休)
- 平均予算
- 入庵料500円(中学生以下無料)
最終更新日:2018.7.3
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森鷗外の居住跡に立つ「水月ホテル鷗外荘」でタイムスリップ体験
次は、一路上野へ。公園沿いの道に佇むこのホテル。外観はシティホテルのようですが、看板には大きく鷗外の文字があります。明治の文豪・森鷗外が、28歳の時に居住していた屋敷跡に建っています。ここで『舞姫』をはじめ、『うたかたの記』などを執筆しました。
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敷地内には『舞姫』を執筆していた部屋や庭が保存されており、「舞姫の間」と名付けられ、食事処や宴会場として利用されています。
ホテル内には天然温泉も。泉質は重炭酸ソーダ泉の黒湯で、神経痛や胃腸痛に効能があるそうです。日帰り入浴もできるので、立ち寄ってみるのもいいですね。
- 住所
- 東京都台東区池之端3-3-21
- 電話番号
- 03-3822-4611
最終更新日:2018.8.27
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団子坂を上がって、モダンな佇まいの「文京区立森鷗外記念館」へ
坂の上には、森鷗外の旧居「観潮楼」の跡に建つ記念館があります。鷗外は1892年(明治25)から亡くなる1922年(大正11)まで、かつてここにあった観潮楼で家族とともに過ごしたといいます。路地からは、当時より立ち続ける大銀杏や、幸田露伴、斎藤緑雨(さいとうりょくう)と撮影に臨んだ場所、“三人冗語の石”が眺められます。三人冗語とは当時鷗外が発行していた文芸誌の中の連載名だそうです。
軍医であり、日本を代表する文豪でもあった森鷗外。彼と同時代に活躍した文豪との関係性に着目した展示も多く、興味をそそります。図書館には自筆原稿をはじめ、生前発行の貴重な図書や雑誌、研究書が所蔵されており、国文学などの研究者も通っているそうです。
出典:
- 住所
- 東京都文京区千駄木1-23-4
- 電話番号
- 03-3824-5511
- 営業時間
- 10:00〜18:00(最終入館は17:30)
- 定休日
- 毎月第4火曜日(祝日の場合は開館し、翌日休館)
- 平均予算
- 一般 300円 中学生以下 無料
最終更新日:2018.4.20
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『吾輩は猫である』が生まれた「猫の家(夏目漱石旧居跡)」で猫と遭遇!?
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団子坂をさらに左側の路地に入っていくと、漱石がイギリス留学から戻った1903年(明治36)から、3年間暮らしていた旧居跡があります。『吾輩は猫である』を執筆したことから、「猫の家」とも呼ばれ、ここにあった旧居が小説の舞台となりました。
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猫と漱石のやりとりに思いを馳せながらあたりを見渡すと、塀の上にはなんとも愛らしい猫の像も。家屋は現在、愛知県犬山市の博物館明治村に移築されているので、そちらにもいつか足をのばしたいものです。
- 住所
- 東京都文京区向丘2-20-7 日本医科大学同窓会館
最終更新日:2018.8.28
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「台東区立一葉記念館」で女流作家・樋口一葉の生涯を辿る
少し足を延ばして三ノ輪方面へ進むと、立派な建物が見えてきます。こちらが『台東区立一葉記念館』。樋口一葉が小説家デビューを果たすことになったきっかけや、交友関係、家業など、ひととなりに迫ります。
3階の展示室を入ったところには、一葉が使用していた文机(複製)もありました。1階フロアには、関連する書籍が並んでいて、手に取ることができたり、短いアニメになった「たけくらべ」や一葉の一生を、ビデオで観ることができます。わかりやすくまとめられていて、彼女の存在が少し身近になったような気がします。
- 住所
- 東京都台東区竜泉3-18-4
- 電話番号
- 03-3873-0004
- 営業時間
- 9:00~16:30(入館は16:00まで)
- 平均予算
- 大人 300円、小中高生 100円
最終更新日:2018.8.28
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小説の世界へひとときタイムトリップ
名作が次々と生み出された所縁の地を歩いていくと、文豪たちの暮らしぶりが、そこはかとなく伝わってくる気がします。改めて作品を読み返してみたら、これまでとは違った読後感が得られるかもしれませんね。