ちくわ。 おでかけ情報

手作業にこだわった炭火焼せんべいと下町人情に触れてほっこり | にんぎょう町 草加屋

good mornings

公開日 2018年10月18日

人形町駅を降りてすぐ、浜町の明治座へとつづく下町の風情を残した甘酒横丁。ここに昔ならでは炭火焼きのせんべい屋、草加屋があります。店先から見える軽やかな手焼きの作業には、ついつい足を止めて見入ってしまいます。

エリア
日本橋
人形町駅
カテゴリ
デート
一人で
子供と一緒
友達と一緒
体験・ショッピング
グルメ
街を知る
甘酒横丁には昭和の時代を感じるお店が並びます。のんびり商店街を歩くと、軒先に美味しそうなせんべいと映画のポスターが目を引くお店が…! 手焼きせんべいの草加屋です。午前中なら、お店の中で職人さんが手焼きしている姿も見ることができたりも。
にんぎょう町草加屋は、昭和3年に先代が埼玉県から人形町へ場所を移して始めたお店です。現在は3代目で御年74才の石川順道(よしみち)さんが、なんと朝3時起きでせんべいを手焼きしています。
草加屋の手焼きせんべいは素朴で香ばしく、飽きがこない味です。有名人のファンも多く、落語家の3代目桂三木助がわざわざ金庫に隠しておいて、弟子に食べられないようにと、人知れずこっそり食べたこともあったとか。その美味しさの秘訣を探るべく、作業工程をのぞいてみました。
順道さんは21才からせんべいを焼き続けて50年。朝からお昼ごろまで焼き続けること約6時間、出来上がるせんべいは400枚から500枚ほどです。朝3時に起きて4時に炭火を起こし、炭火が実際にせんべいを焼ける状態になるのは朝6時ごろから。本当に早起きをしないと務まらない仕事なのです。
生地は埼玉県草加市の工場から取り寄せますが、まずその生地をつくる工程にこだわりが。現在では機械で行ってしまうところも多い「うるち米をせいろで蒸してのす」、という作業を自らの手で丁寧に行います。こうすることで生地の粘りが強くなり、ぱりっとしたせんべいに仕上がるそう。
そして人形町のお店での工程で最も重要なのは「炭火焼」。備長炭から出る遠赤外線が、せんべいの香りを引き立ててくれるというのです。電気やガスでは決して出せません。「炭のパワーはすごいんだよ!」と笑う順道さん。先代から90年使い続けている炭火台の周辺は高温で、大変を通り越して「過酷」とも言える作業なのですが、それでも炭火焼きにこだわります。
せんべいには少しずつ火を通すのがミソ。ひっくり返して上にした面が冷えるので、なんどもひっくり返します。ふくらみ過ぎないように重しで押さえながら、ひたすらこまめにひっくり返し、押す…を繰り返します。ガスや電気だと火が強くすぐ焼けてしまうため、ここでも炭火の良さが活きてきます。
順道さんが丁寧に焼き上げほんのりキツネ色になったせんべいは、小さいベルトコンベアに乗り、醤油の染み込んだローラーを通ります。焼き立てのアツアツな状態じゃないと醤油がうまく染み込みません。焼き加減によって醤油が染み込む量が変わるそうで、よく焼けば焼くほど、醤油が染み込んで濃い味に仕上がるのだそう。通常より焦がした「おこげ」という商品も人気です。
醤油をくぐったせんべいを、順道さんの妻、豊子さんが乾燥台へと並べます。乾燥が済めばいよいよ完成、晴れて店頭にお出ましとなるのですが、せんべいは出来上がってから一週間くらい寝かすと醤油の酵母がほどよく染み込んで一番おいしくなるのだとか。
ぱりっとした噛みごたえのあるものがせんべいの王道ですが、乾燥前の焼き立てのしっとりせんべいも実は格別。焼き立てその場で食べないと美味しさが味わえないというのも貴重です。柔らかいのに歯ごたえはあり、口の中で香ばしい醤油のかおりとともにほろほろさくさくと溶けていきます。お店で焼き立てを1枚から買えるので、足を運んだらその場でぜひご賞味あれ!
このような流れでせんべい作りを行っている草加屋は家族経営。現在は娘の真澄さんも販売のかたわら、せんべい焼きの修行に励む毎日です。お店のカラーである緑色のユニフォームも、「草」加屋ならではという感じで素敵です。
実はこのお店、新参者シリーズの映画「麒麟の翼~劇場版・新参者」の舞台にもなっていることから、今でも映画ファンのお客さんが訪れます。そんなお客さんに人形町の地図を渡して道案内をしたり、撮影秘話を話すこともしばしば。
海外からの客も多く、台湾や中国から毎日2~3組のツアーがやって来るそうです。所狭しとせんべいが並び、こんなポスターや有名人のサインが飾られた店内は、日本人でも外国人でもどこか懐かしく、なんだかワクワクしてしまうことでしょう。
せんべいを焼いている時は一見気難しそう(?) に見える順道さんですが、意外にも「焼いているときはいろんなことを考えちゃうから、考えないように、修業と思って無心で焼いている」だけなのだとか。また販売で店頭に立っている時などは、「せんべいとおかきの違い、わかる?」と、くすっと笑って教えてくれます。「せいべいはうるち米、おかきはもち米。米も違うし、作り方も違うよ」。
1枚1枚丁寧に焼き上げられたせんべいを求めてお店へ向かい、そしてお店の人と何気ない会話を交わす。東京の都心でも、心がほっこりするこんな体験がまだまだできます♪

(文:山岸道子)
(写真:丸山智衣)

にんぎょう町草加屋

住所
東京都中央区日本橋人形町2-20-5 石川ビル 1F
電話番号
03-3666-7378
営業時間
月~金 9:00~18:00  土・祝 10:00~17:00
定休日
日曜
平均予算
~¥999
最終更新日:2018.1.5
大きな地図で見る

※紹介されている情報は、記事公開当時の内容となります。
※飲食店情報の平均予算は、食べログの店舗基本情報を引用しています。

同じスポットが紹介されている別の記事