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鬼子母神への道すがら、絵に描いたような駄菓子屋風情 | 上川口屋

good mornings

公開日 2018年12月9日

池袋が実はすぐそこにもかかわらず、雑司が谷は貴重なまでの静けさ。都電の駅を降りて鬼子母神堂までの参道を歩けば、その昔懐かしい景観におのずとこころ落ち着いてくるのですが、この駄菓子屋さんの存在もまた欠かせません。

雑司が谷駅
鬼子母神前駅
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誰しもがかつて、小さな子どもでした。小腹が空いていようがいまいが、我慢を知らないこころには、ちょっとつまんでみないことにはどうにも気がすまない、そんなお気に入りの甘さに魅せられていた子どもでした。
小さな手のひらにはちょうど良い大きさのパッケージ。指先に力を入れ袋を開ければ香ってくる、いつもの甘いにおい。つかのま嗅いで満足したら、ひとくち、またひとくち。むしゃむしゃと。
その駄菓子屋さんの風情は、子どもの頃の記憶を呼び起こす以上のもの。池袋の賑わいへと気軽にアクセスできる立地にありながら、そこと隔絶されたような静けさの広がる鬼子母神の参道のその先に見つかります。
ケヤキ並木に沿って歩くこと数分。この敷地に入って左手中ほどにあるのがその「上川口屋」です。

そのどっしりとした横長の古めかしい佇まい。優しいオーラをたたえた姿に、何かじーんとくるものが。
雨の日も風の日も、台風の日も。この古びた平屋建の家屋のもとに、これまでに何千人という子どもがここに集ったことでしょう。

現店主の内山さんは、わずか10歳の時からここで店番を任されていたと言います。
当時の子どもたちの放課後の遊び場といえば、もっぱらお寺の境内。だから彼女は店番をしながら、その周囲で思うままに遊ぶ友達の姿をうらやましく思いつつ眺めていたそうなのです。

片やめんこで競い合う男の子たちがいて、片やおはじきに熱中する女の子たちの姿も。
そしてお腹が空けば(あるいは空かなくてもなんとなく)餌を求める小鳥のごとく店先に群がり、ポケットの小銭と相談しながら「きょうのおたのしみ」をこれと決めて買ったのでしょう。

当時の子ども達のいたいけな姿がしのばれます。
懐かしさに誘われるままに、買い物してみてもよいでしょう。遠足の前日ともなれば、100円や200円の使いみちにときめく思いであれこれ悩んだ小学校の頃とか、具体的なあの日あの時の気分が不意に思い出されてグッとくる人も多数いるはず。

「ココアシガレット」その他、パッケージが昔見たまんまの姿で今もご健在。泣かせます。元気でしたか。

ちなみに店内の向こうには、釣り銭の1円玉、5円玉、10円玉の山も。
消費税が計算しづらいこのご時世ならなおのこと、彼らが活躍するのです。おとなたちの知らない世界が、ここにはあります。

鬼子母神の境内に囲まれ、軒先にちょっと木立がかかっている様子なんかもサマになる、典型的な駄菓子屋の景観。映画「おもひでぽろぽろ」に登場した駄菓子屋のモデルになったというのもなるほどです。ごく一部の箇所を除き、ほぼ実際の姿そのままが映画に活かされています。
懐かしさ混じりの心象風景として、私たちが抱く駄菓子屋のイメージ。それをこのお店以上に体現している場所はないのかもしれません。

景観もさることながら、内山さんいわく、大人が持つ駄菓子そのものへの愛着もまた確か。

去年とある家族経営の梅ジャム製造会社が当代限りでの廃業を宣言したのをきっかけとして、その梅ジャムの駆け込み需要が発生。ひと箱(40個入り)でも400円だったのがなんと2万円超えするほどまでに高騰した、なんていうことがあったそうなのです。

三つ子の魂百まで。誰しも、駄菓子に親しんだあの頃があってこその今の私、なんですね。
(文:古谷大典)
(写真:小島沙緒理)

注: 雑司ヶ谷鬼子母神の「鬼」の字は一画目の点がない鬼の字を使います。

上川口屋

住所
東京都豊島区雑司ヶ谷3-15-20 鬼子母神境内
営業時間
10:00~17:00
定休日
雨・雪・台風などの荒天候時
平均予算
~¥999
最終更新日:2018.8.20
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※紹介されている情報は、記事公開当時の内容となります。
※飲食店情報の平均予算は、食べログの店舗基本情報を引用しています。

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