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築地のまちに、意外な文化の寄合所 | コミュニケーションスペース「ふげん社」

good mornings

公開日 2019年3月30日

場外市場の「へい、らっしゃい」といった売り声のイメージがついてまわる築地界隈。でも、感性豊かな時間を過ごせるこんな意外なスポットも。

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通りに吹く風の匂いには、いつも海の気配。場外市場だけとなった今でも足を運べば相も変わらずの活況を見せる築地には、何はさておき、その名を聞いただけで誰もが抱く、あの市場の売り買い現場のイメージがあります。

そのあまりに大きな存在感ゆえ、それ以外のものに注目の目がほとんどいかないのもまた真なり、でして、そこがちょっともったいないのです。こちらの心に優しく波打ってきては、少しばかり、そのコリをほぐしてくれる文化的空間も実はあったりします。
ここ、ふげん社は “コミュニケーションスペース”。

「集まれば、楽しい」をモットーに、平素はギャラリー兼ブックカフェとして機能するほか、写真家のトークセッション、水彩画のワークショップ、「ふげん社落研(おちけん)」と称し開かれる落語の寄席まで、広く文化的なイベントが催され、作家と愛好者、または愛好者同士、ここでお互いの感性とこころを通わせています。
手前がティーサロンも兼ねたギャラリー。またその奥をゆけば、つごう5千冊ほどの蔵書を誇る書籍空間。ふと気になった一冊を片手に、コーヒーで一服しながらゆっくりその世界に触れてみて、実際に買うかどうか検討することも可能です。

独自のセンスで選書、陳列された書籍スペース

衆生をあまねく救う普賢(ふげん)菩薩にあやかり、美しいもの・心豊かになれるものが広く世に行き渡るように、との思いで名付けられた「ふげん社」。ロゴが象のシルエットであるのも、当の菩薩様がまたがっている動物だから。

おおらかでかつとても開かれたその姿勢は、このロゴに既にあきらか、であるように感じるのですがどうでしょうか。
サロン等のイベント等々、この場を介して知り合ったアーティストと手を組み、写真集や美術本を手がけたりもすることも。いまこの時代に求められる思想や感性が、印刷/製本といった物理的工程も含めひとつの形ある作品に仕立て上げられ、その販売までもが自前で手がけられます。

徹頭徹尾自己完結するスタイルなので、つくり手の思いやこころざしを極力損なわず本を世に出すことができる。これもひとえにふげん社というスペースが、知や文化へのある真摯なまなざしのもとに立ち上げられているからこそ。
1950年に札幌市で創業し、現在さいたま市に本社を構える渡辺美術印刷株式会社の二代目社長・関根薫さん。印刷/出版業界がかねてより衰退の一途をたどる中、業界として長らく担ってきた知や文化の媒体としての役割に新しいあり方を、と彼女が考え作ったのがこの場なのです。

大切にしているのは送り手・受け手を問わず、思いを持つもの同士、互いの顔が確かに見えること。この空間を「コミュニケーションスペース」と呼ぶのも、そんな思いの現れです。
かくしてオープンした2014年11月から約4年半の歳月を経て、先のイベントページの各種コンテンツの独自性・多様性が示す通り、今や知と文化をめぐる七色の芽吹きがここで見られるようになっています。
名だたる写真家たちの展覧会も多く開催されるなど、同社の生業(なりわい)たる印刷と親和性の高い写真分野の展開は特に目覚ましく、去年には写真表現に特化したデジタルラボ「Papyrus(パピルス)」がふげん社の上階に設けられるまでに。
優れた講師陣のもと、20代から上は90代までのあらゆる人たちが、実践/座学にまたがる様々なワークショップを通じて写真表現への理解を深め、腕を磨いているもようです。

意外な場所に、こころ豊かにあそばせられるスペースあり。場外市場の活気に触れて、ユニークかつ壮観な本願寺に参るだけでこの街をあとにしていくだなんて、たいそうもったいなくなってしまった築地のまちです。

(文:古谷大典)
(写真:丸山智衣)

ふげん社

住所
東京都中央区築地1-8-4 築地ガーデンビル2F
電話番号
03-6264-3665
営業時間
火 - 金 12:00 - 19:00 / 土 12:00 - 17:00
定休日
日月祝
最終更新日:2019.3.7
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※紹介されている情報は、記事公開当時の内容となります。