地面から照らされる間接照明の効果なのか、昼でも夜でもない居心地が不思議と魅力的な2k540 AKI-OKA ARTISAN(ニーケーゴーヨンマル アキオカアルチザン)。ここは通路を歩く気分も独特なら、個々のお店もまたそれぞれに特色豊かです。

その一角にある、大阪・堺発の注染(ちゅうせん)手ぬぐいのお店・「染めこうば にじゆら」は、温度も湿度も高くなるこれからの時期、肌身離さず手もとにおくべきお気に入りを一品二品探すときに頼りになる存在。
伝統的な和柄にとらわれず遊び心やストーリー性に富んだ絵柄は、ふつうに汗を拭き取るだけでなく、使い方的に色々応用を効かせたくなるものもたくさん。
伝統的な和柄にとらわれず遊び心やストーリー性に富んだ絵柄は、ふつうに汗を拭き取るだけでなく、使い方的に色々応用を効かせたくなるものもたくさん。


個々の柄を問わず全てに共通するのは注染という技法ならではの、ぼかしやにじみをともなった柔らかな色合い。
それは例えば真っ白な布に青と黄色の絵の具を少し距離を離して一滴ずつ落とせば、二つの色のにじみが重なりあう過程できれいな感じに緑色が出現するというイメージ。色から色へだんだんと変わりゆくグラデーションが優美なのです。
そういった繊細な色味は手ぬぐいそのものはもちろん、手ぬぐい生地を使った大人用シャツ、子ども用甚平、ブックカバー、扇子、京うちわなどなど様々なアイテムとしても販売されています。
それは例えば真っ白な布に青と黄色の絵の具を少し距離を離して一滴ずつ落とせば、二つの色のにじみが重なりあう過程できれいな感じに緑色が出現するというイメージ。色から色へだんだんと変わりゆくグラデーションが優美なのです。
そういった繊細な色味は手ぬぐいそのものはもちろん、手ぬぐい生地を使った大人用シャツ、子ども用甚平、ブックカバー、扇子、京うちわなどなど様々なアイテムとしても販売されています。

大人用シャツ(右奥)はプリントものにはない通気性のよさも強み。
そもそもふつうの手ぬぐいも、個々の絵柄や色味しだいで「これはピアノの鍵盤を覆うホコリよけに」とか、気分おもむくまま色々な用途に使ってみることができるもの。
汎用性のある道具としてもっと手ぬぐいを身近なものに、という思いは店長の小野さん含めスタッフ一同が共有しているところです。だから頭にも、手ぬぐい。
汎用性のある道具としてもっと手ぬぐいを身近なものに、という思いは店長の小野さん含めスタッフ一同が共有しているところです。だから頭にも、手ぬぐい。

大阪発のにじゆらですが、小野さんのアイデアで生まれた東京の店舗ならではの限定アイテムも。
原宿の竹下通りをイメージした「crepe日和(クレープびより)」は、折り紙のようにして実際のクレープの形にすることができて、かつチョコバナナ、いちご、ツナサラダといったクレープの中身、それに包み紙の部分にも様々なパターンがあってお見事な一品です。
原宿の竹下通りをイメージした「crepe日和(クレープびより)」は、折り紙のようにして実際のクレープの形にすることができて、かつチョコバナナ、いちご、ツナサラダといったクレープの中身、それに包み紙の部分にも様々なパターンがあってお見事な一品です。

広げてよし、たたんでよしの「crepe日和」。
ツイッター界隈を賑わせる漫画家とのコラボ製品など、大阪ならではのおふざけセンスに富んだものも。店頭には従来の手ぬぐいのイメージを軽やかに鮮やかに塗り替えてくれるものが色々。
ことしの夏、あなたのお肌の恋人として(?)思い切り活躍してもらうべきは、ここで見つかる手ぬぐいなのかもしれません。
ことしの夏、あなたのお肌の恋人として(?)思い切り活躍してもらうべきは、ここで見つかる手ぬぐいなのかもしれません。
注染の体験も、できます。
注染ぞめは、明治時代に大阪で生まれた伝統技法。幽玄なにじみやゆらぎがどういう風にしてできるのか、このお店では店内奥のデモ機でそのプロセスを一部、体験してみることも可能です(事前予約制)。

たくさんの工程を踏み、かつそのひとつひとつで精緻な職人技が求められる技法。
そのエッセンスは、20メートルほどもある長さの布をじゃばら状に折りたたむことで、その上から注がれた色が、下の層へと同じパターンで浸透することで、同じ絵柄を量産できるということ。
まず所定の色が区切られた所定の場所に浸透するよう、防染のりで土手を必要なだけ作っておき、それぞれの土手の中に入れるべき色を流し込んでいきます。
そのエッセンスは、20メートルほどもある長さの布をじゃばら状に折りたたむことで、その上から注がれた色が、下の層へと同じパターンで浸透することで、同じ絵柄を量産できるということ。
まず所定の色が区切られた所定の場所に浸透するよう、防染のりで土手を必要なだけ作っておき、それぞれの土手の中に入れるべき色を流し込んでいきます。



「注染」の注、つまり注ぐというアクションは、まさしくここを指しています。
ひとつの円を二つ、三つと区切ることで、隣り合った色が土手の下の方で、混じり合いグラデーションに。美しくも気持ち悪くもなれてしまうこの色合いをきちんとコントロールしてみせるのもまた、職人の腕の見せどころ。
ひとつの円を二つ、三つと区切ることで、隣り合った色が土手の下の方で、混じり合いグラデーションに。美しくも気持ち悪くもなれてしまうこの色合いをきちんとコントロールしてみせるのもまた、職人の腕の見せどころ。

染料は思いのほかサラサラとしており、注ぎ分けるのも一苦労。なのでどんな配色にするかは事前に塗り絵してお手本を作っておき、それを見ながら進めていきます。

慌てず急がず、各土手をすべて注ぎ分けて、下の方へとちゃんと浸透させられたなら、生地を保護するための当て布をするすると剥がしていきます。
塗り分けた箇所のグラデーション感など、もろもろの出来栄えがここで日の目を見るのです。
塗り分けた箇所のグラデーション感など、もろもろの出来栄えがここで日の目を見るのです。


うまくいったところ、それほどでもなかったところ。手を動かしているときの実感と出てきた結果を照らし合わせて感じる手応えは、体験ならではの醍醐味。
これを自宅で水洗いして防染のりを落とせば、完成です。
作業の難しさの一端を知るにつけ、デモ機の上を飾る職人さんの作品を見る目もおのずと変わってくるのです。それはもう、ただただお見事のひとこと…!
これを自宅で水洗いして防染のりを落とせば、完成です。
作業の難しさの一端を知るにつけ、デモ機の上を飾る職人さんの作品を見る目もおのずと変わってくるのです。それはもう、ただただお見事のひとこと…!

(文:古谷大典)
(写真:丸山智衣)
(写真:丸山智衣)
Aにじゆら 染めこうば店
- 住所
- 東京都台東区上野5-9-18 2K540 AKI-OKA ARTISANO-2区画
- 電話番号
- 03-5826-4125
- 営業時間
- 11:00~19:00
- 定休日
- 水曜日
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