「あたまのオアシス」で雑司が谷発・天国行きのドライヘッドスパを

時代のサイクルが早ければ一日が過ぎるのも早い。せわしない日常を切り盛りするべく誰もが脳内コンピュータを常時フル稼動させては、この義務もあの誘惑もタスク処理し続けているような今日。

自覚症状があるかはさておき、脳のおみそがオーバーヒートを起こしていたとしてもなんら不思議はありませんね。

だからそんなときに刺さるのが、このドライヘッドスパ専門店。おまけに「あたまのオアシス」とユルいネーミングできたものです。

山手線の内側にいるのを忘れそうなくらい静かな鬼子母神の界隈、都電線路沿いのマンションの一室にあるこのお店の看板がどうも気になるという人は、当たっております、正解です。

後光も射してきそうなスッキリ晴れやかな頭になりたい人は、HPで日時予約の上、お店のドアをノックして。このプライベートサロンの主たる野間礼子（あやこ）さんが、アーユルヴェーダにも通じた知識と手わざで頭、ひいては心をもほぐしてくれます。

きっぷのよい、自信に満ちた、頼もしいそのひとの手先・指先から放たれる力を受ければ、やがて間もなくうつうつと。程なくして深く穏やかな眠りについてしまうはずです。

術中のことを後から振り返っても、朦朧（もうろう）とした心地よさだけが漠然と記憶に残っているだけ。何がどうなっていたのかさっぱり不明なその間ゴッドハンドがどこをケアしてくれていたかというと、頭部の各所はもちろん、眉間や目頭、首、デコルテ、また時には肩甲骨まわりも。

絶えず一定した、心地よいゆるやかさで。不眠、頭痛、眼精疲労、首こり、集中力低下、自律神経失調症、気力低下などなど、カウンセリングで聞き出した諸症状を踏まえながら、60分や90分といった時間枠のなか施術してもらえます。

意外にも、不眠で悩んでいる人の場合は頭だけでなく腕（肘下）、手、指をケアするハンドマッサージ20分を足すのが効果的とのこと。いわく、手は第二の脳というほど脳の神経と深い関わりを持っているからだそうです。

施術が済んでやさしく眠りから起こしてもらうときは、長らく自分の身を縛りつけていたひもがすっかりほどけていたことに気づくような感覚。ありがとうございました。

なお上階には、2匹のチワワを飼う彼女ならではのドッグマッサージサロン「チワワのオアシス」が控えています。

疲れやすいシニア犬など、チワワに限らず我が子に癒しのひとときを与えてあげたい飼い主さんの期待に、ここでも野間さんが「三度の飯より犬が好き」と言うほどの愛を込めつつ、動物理学に即した施術で応えます。

気持ちよいスポットをしっかり捉える彼女の妙技とその甘いささやきの数々に、やがてまぶたが次第に重くなってゆくあなたの愛犬。そのとろけぶりにジェラシーを覚えぬよう、飼い主さんは施述を受けさせるにあたっては強い覚悟が必要です。なんて。

なお、リクエストあらば本来3階で行うドライヘッドスパを、このフロアでワンコを胸に抱きつつやってもらうことも可。衛生管理上ふつうお店では望めないところです。

愛しの鼓動と体温を胸元へと抱き寄せれば、別次元の心地よさ。これまた雑司が谷的オアシスならではです。

ちなみにお店の近隣にはチワワ専門店もあったりして、この界隈はにわかにチワワめいています。

2年前からは自身の持つ知識や技能を学べるスクールを開講していた野間さんですが、このたび、そこで技術を培った腕ききの弟子達3人が一歩踏み出すかたちで、お店は新たに3店舗設けられることに。北は小山市（栃木県）から南は石垣島（沖縄県）まで、「あたまのオアシス」は雑司が谷から日本各地へとフランチャイズ展開するのです。

石垣島店を皮切りに順次オープンしていく予定とのことで、いたって気さくな画像が並ぶお店のInstagramでもそのあたりの最新の動向が仕入れられるかもしれません。

語呂よく、やさしく、頼もしく。そんなあたまのオアシスです。

（文：古谷大典）
（写真：奥陽子）