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みほとけの心、雲のたなびき。木から彫り出すかたちの自在 | 宗舟

good mornings

公開日 2019年10月17日

言わずと知れた雷門よりも南側、台東区寿で木彫刻を生業とする「宗舟(そうしゅう)」。その作業場に併設のギャラリー空間には、目を見張る仏像の数々を中心に作品が陳列されています。

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ひろく人々の信仰を集める、神社仏閣。仏像や建築的意匠など目に触れるものがそこにおいて担う役割は、言わずもがな、たいへん大きなものでしょう。

目もと、指先、はためく羽衣。切なる願いも安寧を欲する心も、目にするもののうちに、おのずとすがりたくなる崇高な何かがあればこそ。
欄間、お堂の柱、それに門や鳥居に掲げ社寺名を示す扁額(へんがく)などの社寺建築、そして仏像も。「宗舟(そうしゅう)」は4代百年以上に渡りこれら木彫刻を生業とし歩み続けています。

浅草・田原町・蔵前の三駅の間にある台東区寿は、雷門周辺とは違って住宅街の静けさ。地図を片手に観光客がちらほら訪れるギャラリー空間のすぐ隣の部屋では、鑿(のみ)を手に、素材と対話を重ねるような眼差しを見せつつ彫り進める職人・横谷昭則(よこや あきのり)さんの姿が。
父・光明さんとのふたり体制の現在、鑿をはじめ用いる道具の数はおよそ二、三百本にも。曽祖父にはじまり、1世紀の時間を超えて代々積み重ねられてきた研鑽と経験的知識の深み・広がりの一端を、その数にも見てとることができそうです。
1階、また2階にも設けられているギャラリー空間に並ぶのは、主として仏像や置物の数々。そのほとんどが光背(こうはい。背中の後ろにある装飾のこと)の部分を除き、本体がひとつの材木から彫り出されるという「一木造り」です。

中性的で包容力のある如来像。ふくよかでコミカルな腹部の大黒天。おしなべてシリアスながらも個性豊かな形相の羅漢像。檜(ひのき)、欅(けやき)、桜、白檀、楠(くすのき)、槐(えんじゅ)など、もともと一本の木に過ぎなかったものに、今、こうして備わる見応えに、改めて驚くばかり。

白檀から作られた一作は、存在が文字通り、香る。

発注を受け制作・納品するものが人間大の大きさである場合の、完成物のイメージ共有のため本体に先駆けて作る見本のものですら、既に真に迫る姿かたちをまとっていたりします。

ほか、大きい欄間や厨子(ずし)など花鳥風月がおどる作品も。細長い枠の中、富士山の峰も松の木も、さほど分厚くもない木材の厚みながらに、優美かつ見事な存在感。
気高い精神性を内に秘める諸作品に混じって、誕生仏ほか小さな可愛いものもあり、これまた人気を集めているのだとか。人形感覚で親しみやすい不動明王も。

左から右へ、命はこうして吹き込まれていく。

まず実寸のサイズで絵を描き起こし、その彫り上がった姿をよくよく想像し、手の角度など細部に至るまでの構想を練りあげたのち、一気に彫り上げてしまう。

想像の中でかたちを結ぶ像のブレなさがあってこそ可能となるはずのその制作スタイルからは、彼の研ぎ澄ませる集中力の非凡さが伺えるように思われます。
なお別段公開はされてはいないものの、かの柴又帝釈天のお堂の装飾も手がけたひとりである初代による絵もここには収蔵されており、関係者全10名が携わった中ただひとつその姿を今に残す貴重な資料であるもよう。

初代が走らせた線描の繊細さ、力強さ。今につながる宗舟の系譜のはじまりは、こうしてかたちあるものとして確かに存在しているのです。
(文:古谷大典)
(写真:奥陽子)

宗舟(そうしゅう)

住所
東京都台東区寿4丁目12番2号
電話番号
03-3845-0458
営業時間
10:00〜17:00
最終更新日:2019.10.8
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