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引き継ぐのは、縄文以来の知恵と美の系譜。漆をめぐる集いと学びの場 「目白漆(うるし)學舎」

good mornings

公開日 2019年11月30日

目白駅西側の住宅街に立つこの学び舎は、2015年の創立以来、専門家たちの交流・情報共有から一般愛好家向けの技術・文化の伝達まで、日本の漆文化をめぐる様々な営みの場であり続けています。

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食器から調度品、それに神社仏閣などの建築物に至るまで、日本では古来より実生活のかたわらに漆(うるし)がありました。それも少なくとも7000年前、つまり縄文時代には既に土器の塗装に使われていたというほどの永きにわたる付き合い。

その色味・つやといった目で見て受け取る質感。またお椀などを手に取り、すするその触感も。日本の暮らしの営みにおいて漆器はハレ・ケの区別なくいつも登場してきたわけで、その存在感たるや、相当に大きなものであり続けてきたことが容易に想像されます。
蒔絵などにおける塗料としての利用、あるいはいちどバラバラに壊れてしまった陶器などを修復する「金継ぎ」の技法など、古来より続く漆の活用文化を継承し発展させるべく、 4年前に立ち上げられた「目白漆(うるし)學舎」。

目白駅西側の閑静な住宅街のさなかに立つその一軒家では、専門家向けの講座や一般を対象とした教室が催されたりと、漆をめぐる様々な交流が行われています。
初心者向けの体験講座こそ不定期であるものの、漆についてより深く学びたい人向けの「通常教室」は月に2回。一人の講師のもと最大約10名がこの一室で作業に取り組みます。

元手となる器を各自持ち寄り、ある人は金継ぎを、またある人は蒔絵をといった具合に、講師に指導を仰ぎつつ各自が目の前の一点と向き合うことおよそ2時間からなる、ワンセッション。

漆と小麦粉を練り混ぜ合わせた麦漆(むぎうるし)は、強力な接着力。破片同士をつなぎ合わせたり、木粉を加えて欠けを埋めたりとパテのように使う。

金継ぎによって繕うひび割れや欠けは、その部位も数も大きさも、ものによってさまざま。それら欠損した箇所のひとつひとつについて、少しずつ繕っては硬化するのを待ち、またその上に少し塗り足して、ということを繰り返す工程を踏んで積層を重ねたのち、表面に漆を塗り金粉で装飾すれば完成です。

一つの器につき、全ての箇所を繕いきるまでに半年、もしかすると一年。はた目にはやや驚くほどの時間感覚のもとで目の前のものと向き合うその姿勢こそ、せわし過ぎるほどの今・この世の中をこころ健やかに生きていくために是非とも必要なもの、なのかもしれません。

完成した金の輝きには、単に修復したという以上の「再生」感。バージョンアップした姿でその一品はまた日常のお供へと迎え入れられます。

蒔絵に用いる金。分量は 1グラム。

あやまってガシャーンとやってしまったその時、「では新しいのを買おう」という思考回路ではなく、出来ることなら繕ってみて、使い続けようとする心。

金継ぎとは、「もったいない」というボキャブラリーを持ち、身の回りに八百万の神をみる日本的な精神性ゆえの生活的実践と言えそう。私たちのモノに対する思い入れは、そんなわけできっと深い。

ウルシの木。幹を掻けばそこから白い樹液が浸み出す。

技術にとどまらず、漆をめぐる営みが意味するそういった文化を総体的に理解する人が増えることは、學舎を主宰する目白漆芸文化財研究所の代表取締役・室瀬智弥さんが日々目指すところ。

自身が育ったこの地域で、母校に出前授業に出かけたり、また夏休みに子どもたちをこの場に招き、自分たちで蒔絵をするイベントなども行なったり。スタッフは少人数ながら、目下、手が充分に行き届く範囲で認知と普及を最大限に広げるべく奔走しています。

なお、来たる12月18日(水)〜24日(火)にも、池袋西武で開催の若手漆芸作家たちによるグループ展に出品するということで、室瀬さん自身の作品もそこで多くの人の目に触れることになります。

和紙で濾せば漆は一層滑らかに。

来年4月には一般教室の生徒の作品が一堂に並ぶ「教室展」を開催。続いて6月にはビギナー向けに一回完結型の体験講座も久しぶりに設けられる予定なので、気になる人はFacebookページをフォローしておくのをどうぞお忘れなく。
(文:古谷大典)
(写真:奥陽子)

目白漆學舎(目白漆学舎)

住所
東京都新宿区下落合4-22-11
電話番号
03-3954-1815
最終更新日:2019.11.25
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