吉祥寺駅から13分ほど、井の頭公園をのんびり歩いたその先に「手織工房じょうた」はありました。


2018年に建てられた新屋舎。木材を基調に、床も壁も経年変化が楽しめる空間。
一般的な織り物はまず織りたいものを決めて、見本に忠実に織っていくもの。一方、さをり織りはあえてデザインを決めずに織り始めます。色、素材、手触り、好きな糸を好きなように選んで。頭で考えるのではなく、その時々の自分の感性が赴くままに、ひたすら生地を織っていく。そして織り上がった生地を見て、何に仕立てるかを考えます。作品に表れる自分らしさ、そこにさをり織りの面白さがあるのです。


工房じょうた主宰・城達也さんのさをり織り作品。

城さんが着ている味のあるジャケットもさをり織り。
また教室では、月会員コースもご用意。いつ来て、いつ帰ってもいい自由なスタイルで、各々織りたいものを好きなだけ織れます。現在80人ほどの会員さんはマフラーやベスト、コートなど、思い思いに作品を製作中。
時間に縛られることなく、作るものすら決められていない。とにかく自由、それが「工房じょうた」のモットーなのです。

1日体験コースは3,500円。月会員は月にいくら織っても月額10,000円。別途かかる材料費は、マフラー1本で大体1,000円ほどとリーズナブル!
工房じょうたの糸は、中途半端だからという理由だけで良質なのに廃棄されてしまう、紡績工場の残糸をリユース。コットン、シルク、ウール、麻など素材の良い2,000種類以上もの糸をご用意。糸は1種類だけでなく、2本、3本と組み合わせてみたり、何本選んでもOK! そのときそのときの感性で、自由に選んでみてください。


シャトルをするりと縦糸の間にくぐらせたら、足のペダルをタップ。空気をよび込むようなイメージで筬(おさ)をトンと引き、縦糸と横糸を織り込んでいきます。通して、踏んで、トン。通して、踏んで、トン。リズミカルでとっても簡単。織り上がった生地を眺めて「あの色入れたいな」と思えば、簡単に糸の取り替えも可能。とにかく好きなように、ただひたすら無心に織っていきます。


いったん日常から離れて、無意識のうちにとらわれがちな常識や既成概念から自分を開放してみる。凝り固まっていた心にゆとりを与える、それがさをり織りのいいところ。深呼吸しながら、日常の休息時間に。ぜひ工房じょうたへ足を運んでみましょう。

平日でも教室は大盛況。いつもアットホームな雰囲気のなか、楽しく織ることができます。

さをり織りの創始者・城みさをさんが残した言葉。どれも心にずしんと響くものばかり。
(写真:北浦汐見)