ちくわ。 おでかけ情報

砂でつくる型に、アツアツの錫(すず)を流し込んで。「堀川鋳金所」の鋳物体験教室

good mornings

公開日 2019年12月8日

西日暮里駅から徒歩圏内にある堀川鋳金(ちゅうきん)所。100年以上続く歴史ある金物系の現場で、ぐい飲みなどの鋳物づくりにトライすることもできて貴重です。

西日暮里駅
カテゴリ
一人で
子供と一緒
体験・ショッピング
街を知る
ちょっと歩けば、はた目に何かしら職人の現場とおぼしき場所に行き当たる荒川区。頭上をぶっとく走り抜ける日暮里・舎人ライナーの西日暮里駅近くの住宅街もまた例外ではありません。

この堀川鋳金所、扱うモノがモノだけに一介の素人にはとうてい縁遠い現場に思えるものの、実はその鋳物作りを実際に体験できる機会も設けられています。創業地の文京区動坂から越してきてちょうど100年になるという、その現場の空気を肌身で感じながらこれに取り組むという機会も、そうあるものではないでしょう。
工場のかたわらにはどさっと砂山。これ、幾年月にも渡る使用を重ねた結果、同業者や芸術を学ぶ学生などその道に身を置く誰もが羨むほど鋳物づくりにうってつけのキメ細やかさをほこる砂なのであります。

老舗うなぎ屋にとっての秘伝のタレのごとく、大事な大事なその砂を素材にして鋳型をかたちづくり、その中へと何百℃、モノによっては千℃をもゆうに超える液体金属をドロドロと流し込むことでかたちあるモノを作り上げるのが、鋳物作業の職人、つまりは「鋳物師(いもじ)」のお仕事です。

人気商品のタンブラーは、手にすればヘビィな手応え。表面に帯びる模様の個体差も純錫ならでは。

体験で作るのは、純錫(じゅんすず)製のぐい呑。子どもの場合は、箸置きを。

金属の中でも融点(個体から液体へと変わる温度)が低いため初心者でも制作において扱いやすく、錆びにくい上に毒性もナシ、おまけに水やお酒をおいしくしてくれる錫(すず)の長所が最大限に光るよう、合金ではなく純粋な錫だけで、というのがこちらの三代目・松本隆一さんの男のロマンとこだわりです。
鉄や銅などが炎の赤色を帯びてこうこうと輝く暑い現場。そんなイメージばかりが先行してしまうものの、その金属を流し込むべき鋳型がないことには作業は成り立たない訳で、それを砂でちゃんと綺麗なカタチにできるかどうかが、この体験においては非常に大事な、一大ポイントとなります。

1 砂で鋳型をつくる

この「型を込める」作業、お重ほどの大きさをした金枠(かなわく)の中央部に、ぐい呑の形に沿った空洞のほかは砂がびっしり敷き詰められた状態を作り出すべく、サンドイッチのように上下半分に分け、片方ずつ取り組んでいきます。

完成品となるぐい呑と同一形状の原型をあてがったこの「押台(おしだい)」を、まず土台として置く。

その上に金属の枠をあてがい、その中をふるいにかけながら砂で満たしていく。

押してならして敷き詰めたのち、全体を上下ひっくり返して押台を取り上げれば……

この通り、きれいに砂がびっちりと。これにて半分、出来上がり。

同様にしてもう片方もつくり、それらふたつをガチャンコして砂型の完成。ぐい呑みの形状、それに錫を流し込む通り道だけがくっきりと。

2 型に錫を流し込む

そうして砂型ができたなら、こんどはその中へと錫を注入。

バーナーの青白い炎でしばらく熱して231℃以上に到達すると溶け出す、世にも珍しいけれどさわっちゃダメ。ゼッタイ。な輝きの液体。これが砂型内部いっぱいに入ったら、冷えて固まるまで待つ。

3 型から取り出す

慎重に作り上げた砂型をボロボロとほぐせば、固体としてのかたちをとった錫の姿が。流し込みの部分だけ余分なので機械で切り落とし、その上をヤスリで削って綺麗にすれば、晴れてぐい呑の完成です。

表面には砂粒がかたどったごく細かな凹凸が模様として刻まれていて、それがまた現場の記憶を呼び起こすようなよい手触り。
公的機関や名だたるレストランの門扉などに取り付ける、シンボルマークや家紋みたいなロゴ。寺社建築などの装飾。

そういった、納品時に余分に作ったものなどが荒涼としてシブい工場の片隅に見つかったりするのも、お邪魔する機会がそうあるわけでもない専門現場ならではの眺めという感じで、独特の印象を心に残すものと思います。

応接間でも花器や文鎮などの小品が重心ある輝きを放っていたり。
初代にさかのぼれば、国道1号線の起点である日本橋のたもとに立つかの麒麟像を手がけたひとりとしての実績も。質・量ともに、100年以上続く手しごとは、やはり伊達ではありません。

(文:古谷大典)
(写真:奥陽子)

堀川鋳金所

住所
東京都荒川区西日暮里6‐43‐8
電話番号
03-3893-1442
最終更新日:2019.11.27
大きな地図で見る

※紹介されている情報は、記事公開当時の内容となります。