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再開発を控えた中野駅西側で。かつての駅前通り・桃園商店街の記憶

good mornings

公開日 2019年12月31日

中野駅を出てすぐのレンガ坂を登った先にある「桃園商店街」。かつて駅前通りでもあったこの通りは戦前は軍施設、戦後は警察学校からの需要もあり大いに栄えました。2028年完成と目される駅前の再開発が進む今、その栄華を知る商店会会長・川鍋勲さんの話には一種の郷愁を覚えます。

中野駅
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サブカルひしめくブロードウェイ、それに通好みの居酒屋さんなども点在する中野駅周辺は、人という人で常に賑やか。

かたや2012年のセントラルパークの登場により広々とした場で憩う余裕も備わって、まちの光景はより複合的なものになっています。
東西を一直線に線路が走っていて、駅では駅ビルや商店街が引きも切らず続く、あの典型的な中央線の街並からすれば異質なセントラルパークの眺め。これ、2001年までここにあった警察大学校(のち府中に移転)の広大な敷地が再開発されてのもの。

中野駅も2028年の完成予定にて駅ビルや歩行者デッキが設けられるなど西側へと大きく拡張、しかも同時期に区役所やサンプラザが解体&新生となる運びとなっていたり。駅界隈は今、西側を中心に近い将来さま変わりするべく、水面下で様々な動きが起こっています。

実は当の駅舎自体、さかのぼること1929年までは今より100メートルほど西側に位置しており、レンガ坂を登りきると現われる、今ではごくのんびりとした「桃園商店街」こそが当時の駅前通りだったという意外な過去があります。

いちばん奥には中央・総武線が走る姿も。これが元祖・中野駅の駅前通り。

当の桃園商店街の一角で、電気設備工事や修理などを行うお店「5151(ゴーイチゴーイチ)Kawanabe」を構え、また十数年に渡って商店会「実業桃光会」の会長を務める川鍋勲さんは、今年で80歳。

再開発に伴う人の流れなど、この界隈が今後大きく変わりゆくことになるその時を前に、彼の脳裏には、在りし日の商店街の姿が改めてよく浮かんでくるらしいのです。
「いまでこそ町名が中野三丁目だけど、当時は『桃園町』。線路を挟んで向こうには警察大学校、戦前には陸軍中野電信隊、そしてのちにスパイ養成所だったことで有名な陸軍中野学校が置かれていたから、そこの学生や先生とか、そういった施設の関係者からの需要に支えられていたんです」。

そんな、駅前のいわば御用商店街としてはじまり、栄え、やがて迎えたそのピークは昭和30年代(1955〜1964年)の頃。戦後ムードを離れ、オリンピックに向かって上り調子という時代には、今と異なり商店街が全国で大いに栄えていたのでした。

地域の施設・桃園会館のかたわらにはお稲荷さんも。

氷川神社にて。お米屋さんや酒屋さん、八百屋さんなど、商店会一同で商売繁盛を祈願。

個性的な飲食店が集うレンガ坂。その昔も「桃園小路」として、飲み屋さんが集っていたもよう。

「お米、魚に野菜などの生鮮品のお店はもちろん、うどん屋とかそば屋とか飲食のお店もいっぱい。毎日2,000人の児童が通ってくる桃園第三小学校もすぐそばだから文房具屋も2つあって。故郷を離れて警察学校に通う息子さんとの面会に上京してくる親御さんのための宿屋まであって、通りには全部でお店が100ぐらいも。当時は多かったですよ」。

中野駅の北側にある新井薬師と並び、地域であつい信仰を集める妙法寺の参道でもあったこの通り。一帯の地域経済は、盛んにまわりまわっていたようです。

外灯の色にも病院のロゴにも。ここは他ならぬ桃園通り。

商店は今、およそ30を数えるほど。長く続けられた酒屋さんもニーズの時代的な変化を汲んでパン屋へと鞍替えした一方で、川鍋さんの主な商売相手も今や一般家庭ではなく法人。5年も経てば性能が大きく変わる昨今の家電事情ゆえ、修理して使い続けるより買い換えてしまう方が多いからです。

来たる8年後、2028年に完了予定の再開発が済んだあかつきにはこの通りに直結する新しい駅の出口が登場し人の流れも増えるのが見込まれる一方、大きな資本を元手に大規模に展開する店へと客足が流れてしまうリスクも。
再開発を控えたこの中野駅界隈に限ったことではなく、かつての商店街はなやかなりし時代から刻一刻と遠ざかるいま、オーガニックな商いの場の持つ体温の感じられるあたたかさには、折に触れ意識的にあやかりたいものです。

通勤・通学の帰り道で。休日に訪ねた知らないまちで。チャンスある限り。


(文:古谷大典)
(写真:奥陽子)

5151 Kawanabe

住所
東京都中野区中野3丁目38−11
電話番号
03-3384-5151
最終更新日:2019.12.24
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