ちくわ。 おでかけ情報

花が色とりどりに並ぶお店は、笹塚・玉川上水沿いの空の下

good mornings

公開日 2020年1月25日

ここは笹塚駅からすぐ近くの川沿いで営まれる花屋さん。屋外で看板もないまま十数年に渡りこのお店を営むおじさんは、地域の人と四十年以上の顔なじみです。

笹塚駅
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笹塚駅のすぐ南側で、くねりながら細々と流れる玉川上水。その川沿いの細長い路地を歩きはじめて1分と経たぬうちに、ふと、色とりどりの花が道路の脇を彩る現場に行き当たります。

路上園芸にしてはずいぶんと豪勢な、と思ったら間違いで、実はれっきとした花屋さんです。
店らしい看板もなければ、期間限定で催事が開かれているのでもなく。路上で営まれているように見えて一瞬はて?と思うものの、実際にはここ、すぐ奥の一軒家に住む大家さんの所有地なのです。

はじめ駐車場としての利用が検討されていたという、川と路地に挟まれたごく細長い区画。その境界線に沿うようにしてこうして花が並べられ、通りゆく人も少なからず足を止めてはちょっとばかり物色していく。雨や強風に見舞われない限り平日も土日も変わらず続く、ここではごく日常の営みです。
カーネーション、バラ、ガーベラなどのキク、ラナンキュラス、アリストロメリアほかスイセンの仲間も。種類もその時々で違えど、およそ30種を数える花々が毎日昼頃にお目見えしては空の下、風に吹かれ、駅利用者が大きく増える夕方〜夜のはじめにかけてまでをここで過ごします。

商品も陳列用の什器も、一切の商売道具を夜間ハイエースの中に収めておき、明けて翌日、午前中にそれらを取り出しイチから設営して、夜になったらまたしまうというのがお店を営むおじさんのルーティンです。
通勤・通学にしろ遊びにしろ、駅は地域の人にとってあらゆる行動の拠点となる場所。だから近隣住民はもちろん、日々この小さな路地を往来する駅利用者にとっても、十数年に渡りここで続けられてきたこの店はごくなじみの存在。しかも理由はそれだけにとどまりません。

実はお店のおじさんと笹塚駅との関わりは古く、その昔、駅が今のように高架化されずまだ地面を走っていた1970年代後半、今はなき旧駅舎のかたわらに設けられた京王直営の花屋で番頭を任されていた時代があったのです。
はじめは京王線新宿駅の敷地に構えられた別の花屋にて、修業中の身。それがやがて、沿線に数多く設けられた京王直営のフラワーショップで売り上げの振るわない店舗があれば、京王からの依頼で番頭になり店の業績を回復させて、という実績を積み重ねる中で担当した駅の一つが笹塚だったのです。

30年ほど前には京王直営でない自前のお店として、笹塚駅敷地内に出店したことも。のち練馬区に拠点を移しながらも、配達で日頃から懇意にしてもらっていた生け花講師宅への搬入の際、かつて顔なじみだったおばさま達から「あらあのお花屋さん? お久しぶり! 私にも売ってくれない?」と声をかけてもらうケースに複数出くわすことに。

いちばん古いお客では三代に渡って買い続けてくれる一家も。

缶コーヒーでちょっとひと息。コンビニは歩いて30秒の距離。

ほどなくして、ここの敷地の空き情報もなんともタイミングよく舞い込み、晴れてこんなユニークかつアウトドアな環境のもと笹塚での商いを再開したのが十数年前。そんなストーリーです。

夏は頭上の木々に留まったセミたちの唄をめいっぱい聴きながら。冬にはしんと張りつめた空気をかき分け耳に届く京王線の発車音。季節とまちの呼吸をつぶさに感じ取りながら、おじさんはきょうもこの場で花と共に居ます。
(文:古谷大典)
(写真:丸山智衣)

笹塚・玉川上水のお花屋さん

住所
東京都渋谷区笹塚1-25
最終更新日:2020.1.20
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※紹介されている情報は、記事公開当時の内容となります。