ちくわ。 おでかけ情報

小田原の地で再発見。私が私を生きる喜び | こゆるぎマルシェ代表・平澤芳栄さん

good mornings

公開日 2020年2月22日

新幹線もあって東京との往来も気軽な小田原。まちの美点は自然・食・歴史文化に渡って様々に見い出すことができるのですが、例えばこんなひとの姿にも。

エリア
小田原
小田原駅
カテゴリ
体験・ショッピング
グルメ
街を知る
東京からいちばん近い天守閣もアイコニックな小田原。東海道有数の宿場町として栄え、参勤交代からお伊勢参りまで、人々が東へ西へと盛んに行き交ったまち。

住み慣れた東京から図らずも移り住んだこの土地で、ワクワクした気持ちから遠ざかって久しかった人生がいつになく輝きを取り戻し始めた。そんな女性がいます。
小田原駅から徒歩10分ほどのとある一軒家の二階にある、和洋ふた部屋から成る小さなワーキングスペース。近隣に暮らす場合はもちろん、東京など遠方の大都市に暮らし・働く女性が気分転換を兼ね有意義にテレワークできるのをねらいとしたこの空間こそ、まさにそのひとが立ち上げたものです。

目に映るもの、口にするもの、そよ風の匂い、それにきっと磁場の違いなんかも。小田原という土地のもろもろを受け取った身体とアタマから生まれるのは、無機的ゆえ危うく擦り切れてしまいかねない大都会に居座ってばかりでは望めない、思いもよらぬ着想や生産性。それが企画であれ、イラスト制作であれ。

この場の仕掛け人・平澤芳栄さんは、実体験も踏まえそのことを声を大にして伝えたく思っています。
夫と娘の三人暮らし。産休・育休も挟みつつ20年弱続けた会社員生活を通じ自他ともに認める一定の成果は出してきたものの、いざ昇進はというと高どまり感が拭えず、このまま定年まで働き続けるのも不本意。そんなわだかまりを心に抱えたまま、娘の高校・大学受験にかこつけて退職。

高2になって医学部を志すようになり、日々努力を重ねる娘。対してわたしはどうだろう。勉強やスポーツなど子どもの成果を見守る生活の中で、かつて仕事に取り組んでいた時のような張り合いを失ってしまっている自分が自分でつまらなく、どうにもつらい。気づけばそんな思いを抱え続けていたのでした。

やがて「晴れて合格! いざ医学部へ」となったのを機に、その資金捻出のため江東区の住み慣れたマンションを売却。夫の通勤・娘の通学が可能な距離圏で新居を探し、結果、縁もゆかりもないけど物件が素敵だったということで住み着いたのが、ここ小田原。

スペースの一画には、小田原で出会い意気投合した絵描き・たなかきょおこ氏の作品なども。

新鮮で体も喜ぶものが日常的に食べられ、おおらかな友人達も出来たほか、その他もろもろが新しくなった生活環境。そして旧知の仕事上のメンターからの後押しなど数々のインスピレーションが重なって、彼女は一念発起してこの地での起業を決意します。

取り組む事業は、女性のキャリア支援。かつての自分のように、女性が志半ばで自己実現を諦めてしまうことなく活躍し続けられる世にしていくこと。自分の目標に邁進する母の姿も、娘にとって希望になるに違いない、と。

小田原のポテンシャルもふんだんに活かせる女性専用ワーキングスペース・テレワクこゆるぎの運営も手がける「株式会社こゆるぎマルシェ」は、こうして2017年12月にはじめられました。

整体師からWeb・印刷物の制作者まで。偶然居合わせた異業種同士、ふとした会話が思わぬ協働のきっかけにも。

品川から新幹線で30分ほどだから、金曜の午前に東京を発ち、午後からここで仕事をして、そのまま土日も山や海に親しむ時間をのんびりと。箱根や伊豆の行楽地へ繰り出すにしたって、小田原発なら短時間でごく気軽に行ける。

例えばそんな具合にして、職・遊にまたがり充実の二泊三日が過ごせる小田原。ここは首都圏に暮らす人がもう一つの日常拠点として組み込むことで、都会と自然のいいとこ取りができるロケーションです。自身もその味をしめてしまった平澤さんは、スペースを会社の打ち合わせで貸切利用できるようにしたり、より多様で豊かな利活用のあり方を模索しています。

近所のスーパーを出て歩く向こうに、空と山並。

ほかにも彼女はキャリアコンサルティングほか女性のキャリア支援、また腸活やダイエットにも効く食品を開発したりと、「頑張る自分に自信が持てる」充実の日々を送っています。

自社開発食品の第1弾「まいあさスルリ」はプチ断食のよきお供。ヨーグルトあるいは牛乳などと混ぜて味わう。

ちなみに去年8月には夫の泰行さんもサラリーマン稼業をやめ自家焙煎コーヒーのお店・平澤珈琲店をオープン。兼ねてから神保町辺りの喫茶店をめぐるのが好きで、休日にはコーヒー豆を煎ったりパンもよくこねていた元システムエンジニアは、この土地の風に背中を押されるようにして、より自然に近い生業を営むことを選んだのです。

さりげない店構えの1階・平澤珈琲店。上階がテレワクこゆるぎ。

レーズンやナッツ、くるみがぎっしりとしてもちもちの自家製パンをコーヒーと共に。お店は週3回、フレンチやおばんざいを自然派ワインで楽しむ夜の美食空間へと変身も。

平澤さんが社名にも掲げる、響きもなにやら優美な「こゆるぎ」とは、いまの小田原市から大磯にかけての一帯を指していた、遠い昔の地名。

地震による小規模な揺れに由来しているらしく、それを漢字で「小由留木」と当てたのを、流れるような草書で書くと「小田原」という漢字に読めることから現在の地名で呼ばれることになった、という一説も。

夫の泰行さんと。

本当のところはあんな風に、こんな風に活躍する自分でありたい、と心がどこかさざ波立っている女性にとって頼もしい人の姿が、ひとり。相模の青々とした海も近いまちで家族とともに暮らしています。

(文:古谷大典)
(写真:奥陽子)

平澤珈琲店

住所
神奈川県小田原市栄町3-19-5
電話番号
050-1133-8134
営業時間
[月、火、金] 7:00~18:00 [土、日] 9:00~17:00
定休日
水曜日、木曜日
平均予算
[昼]¥1,000~¥1,999
最終更新日:2020.4.10
データ提供:食べログ
大きな地図で見る

※紹介されている情報は、記事公開当時の内容となります。

同じスポットが紹介されている別の記事