ソメイヨシノ発祥の地として知られる豊島区駒込ですが、植物目線でまちを眺めればまだ他にも見逃せないスポットがあります。鶴仙園(かくせんえん)という名の、サボテンはじめ多肉植物専門のお店はその筆頭格でしょう。

古くから伝わる蔵と門があって趣深い公園からもすぐの、住宅街のさなかにある民家。
ここの一階および屋上の温室の中で生きる植物たちは、その姿が実にバリエーションが豊富。昭和5年から 3代90年に渡り続いてきた豊穣なる緑空間の光景は、ちょっとやそっとのことではお目にかかれないレアなものです。
ここの一階および屋上の温室の中で生きる植物たちは、その姿が実にバリエーションが豊富。昭和5年から 3代90年に渡り続いてきた豊穣なる緑空間の光景は、ちょっとやそっとのことではお目にかかれないレアなものです。

各種、ただ単にユニークと言うだけでは大いに物足りない不思議なかたち。可愛いようで怖いような、真面目なようでどこかふざけているような。人に託して言うならそんな感じのなんとも味わい深いニュアンスのものがぜんぶでおよそ700〜800点ほどもあります。
これら、いずれも一筋縄でいかない存在感を放っていて、こちらの目を引きつけてやみません。
これら、いずれも一筋縄でいかない存在感を放っていて、こちらの目を引きつけてやみません。

ユーフォルビア属のものがいろいろ。

エケベリア。

ハオルチア。
マンガに出てくるサボテンを手乗りサイズのミニチュアにしたような、可愛いユーフォルビア属。淡い色合いを帯びていて、丸みの中にも上品さが際立つエケベリア。ぷっくりとして透明感ある緑色があまりにきれいでついつい見入ってしまうハオルチア。
ミニチュアサイズながらに完結されたひとつの美しい世界が整然と並んでいるようすは、眺めているうちにモノのスケール感が現実とかけ離れていくような感覚があって、この点、盆栽に通じるものがあります。
こういった手のひらに収まるほど小さなものも沢山ある一方、屋上階の温室のラインナップを中心に、よりサイズの大きなものたちも。場合によっては人の背丈ほどあるものまで(!)
ミニチュアサイズながらに完結されたひとつの美しい世界が整然と並んでいるようすは、眺めているうちにモノのスケール感が現実とかけ離れていくような感覚があって、この点、盆栽に通じるものがあります。
こういった手のひらに収まるほど小さなものも沢山ある一方、屋上階の温室のラインナップを中心に、よりサイズの大きなものたちも。場合によっては人の背丈ほどあるものまで(!)

兜丸(かぶとまる)。店主の好みなだけに数も豊富。

塊根植物(コーデックス)の仲間も。

竜神木(リュウジンボク)を台木とし、その上に成る紅籠(ベニカゴ)。
白いアレオレ(花座。将来ここから花が出る)がポツポツと点線のようについていて、幾何学的模様が綺麗な兜丸。もりもりとしてワイルド&ユニークなコーデックスにも様々な種類があって、これでもかというぐらい、太くたくましい幹をしたものも。
かと思えば、どーんと大きなスターフルーツのような形のストロンギロゴナムとか。温室内に潜むインパクトあるものといったら枚挙にいとまがありません。ここにあるもの、ほぼ全部。
かと思えば、どーんと大きなスターフルーツのような形のストロンギロゴナムとか。温室内に潜むインパクトあるものといったら枚挙にいとまがありません。ここにあるもの、ほぼ全部。

そんなわけでここ、生きとし生けるものたちが揃いも揃って個性的な、多肉植物ワンダーランドの様相を呈しています。
「多肉女子」なるワードもたびたび耳にするだけでなく、大人のオトコの趣味としての園芸も普及の一途をたどるなど、ここ数年来、過去にも例のない長く安定した人気を博している多肉植物。
乾燥に強くて、頻繁に水やりしてあげる必要もない、などとお手軽に扱えるかのように語られがちなものの、実は「世間で言われるほどたやすくないんだよ」とは2代目の靏岡(つるおか)貞男さんの弁。
「多肉女子」なるワードもたびたび耳にするだけでなく、大人のオトコの趣味としての園芸も普及の一途をたどるなど、ここ数年来、過去にも例のない長く安定した人気を博している多肉植物。
乾燥に強くて、頻繁に水やりしてあげる必要もない、などとお手軽に扱えるかのように語られがちなものの、実は「世間で言われるほどたやすくないんだよ」とは2代目の靏岡(つるおか)貞男さんの弁。

「暖かい時期によく成長する『夏型』のものもあれば、逆に『冬型』もある。種によって、個体によって欲しがるものも違う、そういう繊細な生き物だから、ちゃんと家族のように、愛情をもって育てないとね」と。すがた良く育てるのも非常にチャレンジングなことのようです。
「買ってもらって終わり、というのではなくて命を大切に、なるべく長続きするよう思いやりを持って接することで得られる手応えや奥深さがあることを、オレたちももっと普及させないとね」。そんな思いで、息子の3代目・秀明さんともども家業は営まれています。
「買ってもらって終わり、というのではなくて命を大切に、なるべく長続きするよう思いやりを持って接することで得られる手応えや奥深さがあることを、オレたちももっと普及させないとね」。そんな思いで、息子の3代目・秀明さんともども家業は営まれています。

小さな花(赤)をつけた様子がリボンみたいでプリティ。
短命のものでもおよそ15年ほど。ヒト以上に長生きするものも少なくない多肉植物の世界。店内には500円程度から始められるお手頃なものだってあるので、気になった方、愛がはじまる予感のする方はひとつ来店してみては。
ちなみに鶴仙園、交通も至便な池袋西武にもお店が構えられていて、逆にここ駒込の本店はお休みの日も多いので注意しましょう。HPから休業日が確認できます。
(文:古谷大典)
(写真:丸山智衣)
ちなみに鶴仙園、交通も至便な池袋西武にもお店が構えられていて、逆にここ駒込の本店はお休みの日も多いので注意しましょう。HPから休業日が確認できます。
(文:古谷大典)
(写真:丸山智衣)
大きな地図で見る