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仕立ての革靴を、時間をかけてイチから学べる「オキザリス靴工房」

good mornings

公開日 2020年4月23日

神楽坂、江戸川橋、早稲田の各駅からアクセス可能なビルの一室にある、この仕立て靴工房。実のところなんと100以上もの工程に渡るといわれる革靴づくりについて学ぶ教室が開講されています。

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歩く。実に普遍的な動作です。外出のたびに踏みしめる一歩一歩を受け止める靴は、縁の下の力持ちにして欠くべからざるベーシックアイテムであります。

マフラーとか上着とか、ファッショニスタ的関心が高じて服飾系のものづくりに興味が湧いたことのある人も多いでしょうが、なにせ足はそもそもかたちが複雑。素材やパーツが多岐に渡るし靴をつくるなんていかにもハードルが高そうですが、新宿区山吹町にあるオキザリス靴工房では、そのいろはについて職人の手ほどきを受けながら習得することができます。
週に1回3時間を月4回、およそ10ヶ月ほどをかけて革靴を自分の手で一から作り完成させられるというこの教室。要する期間の長さに一見驚くものの、靴づくりの全工程を細分化すると100以上にもなるというから、やはりそれ相応の時間がかかるのです。

先生役は、ここで工房を営む石田さん。元来ものづくり好きで、会社員を続けるかたわら靴作りも学び続け定年退職後に靴職人へと転身した彼の手ほどきのもと、一度に4〜5人という少人数で息長くじっくりと靴づくりに取り組んでゆきます。
ゴールまでの長い道のりは、大きく分けてもなんと7つ。

1、デザインや設計を反映させた型紙(ペーパー・パターン)を作ること

2、革を裁断・縫製してアッパーの部分を作ること

3、アッパーを木型に沿わせて吊り込みそれを成形すること

4、アッパーと中底とウエルトを縫い付けてジョイントさせること

5、そこへ本底を貼りウエルトと本底を縫い付けること

6、踵の革を積み上げて削って形を整えること

7、仕上げに磨いて着色を施すこと。以上です。

まず木型(木製の足型)を元手に、その上にシャープペンでアッパー部分のデザインを描き、そこへ透明なシートを貼って写し取り、平面にして設計を行い、最終的に靴に必要な各パーツに起こすことで型紙が完成。

木型。ブーツなど、デザイン次第ではくるぶしから上を革で作ることも

アッパーも一枚岩ではなく、スタンダードなデザインで10ほどのパーツに別れる

次にその型紙で採寸しながらアッパー素材となる革を裁断、パーツ同士や個々のオモテ・ウラを縫い合わせる縫製作業です。仕上がりのデザインや装着感がイメージ通りかどうかチェックするためいちど必ず試作した上で、改めて本番を作り直すというのがここでのセオリー。
そうして出来たアッパー部分を木型にあてがい、木型の形状に沿ったままで革を固めるべく、足裏の部分を工具で引っ張り釘で打ち付む「吊り込み」作業を。これでアッパー部分が出来上がりです。

吊り込み作業。ペンチ&トンカチの一人二役を果たす専用工具「ワニ」を使って

続いてはアッパーと中底、それに「ウエルト」を9ミリ間隔で縫い合わせる「すくい縫い」の作業。靴の耐久性にも大きく関わる重要な工程です。

ちなみに吊り込み作業で打ち込む小さな釘の数は片足だけでなんと50も60も。数が数なので縫い合わせたのち釘を外すのもこれまたひと苦労です。

まわりを縁取る革が、ウェルト

そうしていよいよ、中底の下、地面に接する本底(ほんぞこ)とウエルトを縫い合わせる「出し縫い」の作業に取り掛かります。完成時には縫い目がわかりにくい部分なのですが、手作りならではの細かい表情が出せる作業でもあります。

次は、かかと部分に一枚一枚、5ミリほどの厚さの牛革を貼り合わせては平らに磨くことを4層も5層も繰り返し、20〜30㎜の厚さへと積み上げてゆきます。作業を終えたかかと部分は、パッと見がまるで木の合板のよう。実際にはれっきとした成牛(おとなの牛)の革です。
最後に、本底の側面やかかとの側面を黒く塗装したり、場合によっては土踏まずの部分をバイオリンの裏側のように美しい曲線美を描くように仕上げたりして(=フィドルバック)、完成です。

アッパーに穴でつくる意匠「フルブローグ」を施すのが石田さんの好み

靴はあらゆる部分が曲面ばかりで構成されているだけに、作るのもチャレンジング。「100足経験すれば一人前」とも言われる奥深いその世界ですが、この教室では靴の工場に勤めていたり靴修理に携わっていたりする業界人のほかオフィスワーカーも少なくなく、手を動かし丹念に道をたどっていく本格的なモノづくりのよろこびを各自ここで味わっているようです。

自身が習っていた教室では最終的に講師役も務めたほどの腕利きで、語り口も優しいごく落ち着いた先生のもと、慌てず急がずじっくり取り組めるレッスンが1回あたり3時間。それを月4回。それでいて月謝が12,000円(税抜)と、一時間あたり1,000円からはじめられるのは魅力的だと思います。

(文:古谷大典)
(写真:丸山智衣)

オキザリス靴工房

住所
東京都新宿区山吹町337 ベルウッド早稲田3階
営業時間
10:00〜19:00
定休日
火曜日
最終更新日:2020.4.20
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※紹介されている情報は、記事公開当時の内容となります。