その町に流れる大きな川の名は、"酒の匂いの川"と書いて、「酒匂川(さかわがわ)」と読みます。水、米ともに良好な酒匂川周辺の足柄地域は、小田原藩の銘醸地として栄え、古くから酒造りの名所としても親しまれてきました。

ここは、他ではなかなか手に入らない珍しいお酒が手に入る、知る人ぞ知るワインと日本酒の名店です。特に日本ワインの品揃えは国内随一ともいわれています。

駐車場は店前に約4台分あります。

生まれたときからここ「鴨宮かのや酒店」でお酒を身近に暮らしてきたという今井 博さん。穏やかな笑顔であらゆるお酒の話をお聞かせくださいます。
日本酒は30の酒蔵の約200種類のお酒を、ワインは国内外のものを約1000種類。専門的に扱っている日本ワインに関しては、100以上のワイナリーの600種類以上ものワインを扱っているそう。日本ワインの産地は北海道から九州まで、外国のワインはイタリアからフランス、新世界と呼ばれるカリフォルニアやチリなど、幅広い土地を網羅しています。

この道30年以上の目利きである博さんが実際に飲んでみて、払った金額よりも良いものが飲めたという満足感が得られるものを厳選。その秀逸なセレクトに惚れ込んで、わざわざ遠方から店を訪ねてくるお客さんも少なくありません。ワインや日本酒など、醸造酒は作り方によって特に違いが出やすいお酒だからこそ、店頭ではどんな背景で作られ、どのような味わいのお酒であるか、しっかりと教えて下さいます。
お客さんにおいしくお酒を飲んでもらえるように、博さん自ら日本各地にあるワイナリーや酒蔵に足を運ぶこともしばしば。現地で体験してきたことや作り手さんの想いをできる限りお客さんに還元しようと普段から心がけているそうです。

店内真ん中の棚には、県ごとに日本ワインがずらりと並びます。
そもそもワインというのは、地のものと食べ合わせで飲まれる食中酒。あまり濃い味を好まない日本人の舌には日本のワインがよく合うそうで、和食とのペアリングも十分に楽しめます。日本ワインは生産量が少ないものも多いため、人気の銘柄は入荷後すぐになくなってしまうことも多いそう。

酸化防止剤無添加または添加微小の自然派ビオワイン(ヴァンナチュール)、オーガニックワインはリーチイン冷蔵庫で販売。

お酒は1000円前後のものから、高級ラベルまで幅広くご用意あり。
足柄平野の最上部、丹沢山の麓で作られるお酒で、代表銘柄は「丹沢山」と「隆(りゅう)」。全国の一流銘酒とならんで支持される、神奈川県を代表する日本酒です。お酒の素材には南足柄と開成町にある水田で育てられる、酒造好適米の「若水」と、丹沢山系の中硬水で日本トップクラスの名水を贅沢に使用。小田原土産にもぜひおすすめしたい100%地元産の逸品です。

「地元にこれだけ志の高い酒造りをしている蔵があるとは、衝撃を受けました」と、博さんも太鼓判を押す「川西屋酒造店」の日本酒。右から「丹沢山吟造り純米」(1.8L ¥3,190)、「隆 足柄若水 55 純米吟醸 白ラベル」(1.8L ¥3,245)
今では、お付き合いのある日本各地のワイナリーや酒蔵の作り手さん、海外のお酒であれば輸入元のインポーターさんをゲストに招いて、より深くお酒の魅力を感じられる場として開催しています。会場には、栓の空いたお酒がずらりと並んで、参加費を払えば自由に飲めるスタイル。事前の申し込みは不要で、いつ来店してもOKなアットホームな雰囲気です。お味魅会は次回でなんと111回目! 毎度毎度大盛況のイベントです。

お味魅会のメイン会場となる店奥のスペース。その奥には5000円以上のワインを保管する、温度と湿度が最適に保たれた特注ワインセラーも完備。
(文・北居る奈)
(写真・北浦汐見)
実店舗の営業は水~金曜の10:00〜18:00
オンラインショップは通常営業