気持ちのいい神田川沿いを歩いていると、素敵な鳥のマークを発見! そこには、世界初というクラフトコーラメーカー「伊良コーラ」の工房兼お店がありました。

店の近くの神田川。春には見事な桜並木が咲き誇ります。

コーラはできたての手作りコーラシロップを強めの炭酸で割って、レモンを添えたら、最後に胡椒をひと振り。東南アジアでみるような、パウチタイプの容器で提供してくださいます。

店主でコーラ職人の小林 隆英さん。

学生時代、患っていた偏頭痛の緩和にカフェインが効果的だからとコーラを飲み始め、気づけばすっかりとコーラマニアに。あるときは、趣味の釣りをしながら3ヶ月もかけて、中南米や北アフリカ、アジア、ヨーロッパ、アメリカなど30カ国をめぐるご当地コーラの旅へ出かけたこともあったそう。
そして、ある日偶然100年以上前に書かれたというコーラレシピを発見。これをベースに、伊良コーラのコーラ作りが始まりました。


店内の大きなガラス窓からは、コーラの製造工房を見学できます。
原料には、レモンやライムなどの柑橘類に、コーラの実をはじめ、シナモンやバニラビーンズ、カルダモンなど10種類以上のスパイスを調合。おじいさまから譲り受けたという年代ものの粉砕機で砕いたスパイスは、香りやコクのバランスを考えながら鍋に順々に投入していき、火を入れていきます。こうして丸一日かけて作られたコーラシロップはその後1週間ほど寝かせて、飲み頃になったときやっと店頭に並ぶそうです。


「THE DREAMY FLAVOR」(1杯 ¥500)。斬新な袋状の容器は、ゴミがかさばらないというのもうれしいポイント。よくかき混ぜてから飲みましょう。
ちなみに、コーラの語源ともなっているコーラの実の原産地、西アフリカには「Onye wetara oji, wetara ndu.(コーラの実をもたらす人は生命をもたらす)」、そんな言葉もあるそうで、コーラの実は滋養強壮に効果的なスパイスともいわれています。


「クラフトコーラ 魔法のシロップ Mサイズ」 (250 ml ¥2,950)。強めの炭酸水で割って、4倍に希釈してから飲んでみましょう。
伊良コーラは先代の工房や道具、調合の知識、そしてクラフツマンシップを、孫である小林さんが大好きなコーラによって蘇らせた奇跡の飲み物です。
「消えゆく運命にあった価値に光を当てて新たな輝きを生み出す」。伊良コーラのものづくりには、そんな確かな理念が込められていました。

地元である下落合の魅力をたくさんの人に発信したいと、小林さんは店の前の道を「コーラ小道」と命名。
(写真:佐々木孝憲)