中野ブロードウェイの中にある各種マニアックなお店の品揃えには恐るべき奥深さがありますが、そんな街らしく、駅まわりの繁華街を離れた住宅街にも同様の趣味深掘り系スポットがあります。
例えばこちらR.M.kalimba/craft & junkは、店主の秋元さんが自宅に構える古い楽器や関連古物のお店。手作りのカリンバやシガーボックスギター、60〜70年代のウクレレやギターなど、珍しくて味わい深いアイテムを取り揃えています。
例えばこちらR.M.kalimba/craft & junkは、店主の秋元さんが自宅に構える古い楽器や関連古物のお店。手作りのカリンバやシガーボックスギター、60〜70年代のウクレレやギターなど、珍しくて味わい深いアイテムを取り揃えています。


世界一ちいさな鍵盤楽器と言われるカリンバ。ここにあるそれはハンドメイドの一点もの、それも古い端材や廃材を用いて作られたものが大多数なので、経年変化の個体差もさまざま。それぞれに異なる風合いを持っています。
携帯ゲーム機のように両手で持ち、親指で金属の弦を弾くとちょっとビブラフォンのように神秘的、かつコミカルな音。音程の並びも左右交互に弾くことを想定されていて適当にポロポロやっても決して耳心地の悪くない旋律が鳴らせるし、音の大きさがジェントル。室内で遊ぶのにも勝手が良いものと思われます(それでいて秋元さんの知人の中にも練習を重ねた末に独創的な演奏ができるようになった人もいるそうで、奥深いようです)。
携帯ゲーム機のように両手で持ち、親指で金属の弦を弾くとちょっとビブラフォンのように神秘的、かつコミカルな音。音程の並びも左右交互に弾くことを想定されていて適当にポロポロやっても決して耳心地の悪くない旋律が鳴らせるし、音の大きさがジェントル。室内で遊ぶのにも勝手が良いものと思われます(それでいて秋元さんの知人の中にも練習を重ねた末に独創的な演奏ができるようになった人もいるそうで、奥深いようです)。


弾いた弦の根元あたりについた小さなビーズが共振する仕組み
カリンバには王冠やビーズなど一見装飾的なものも施されているかと思いきや、実はこれらは鳴らした際の響きを豊かにするためのもの。弦を弾くと西洋音楽に慣れた耳にはノイズかと一瞬感じてしまうようなブルブルガタガタとした共振音が出るのです。このような味付けはアフリカに古くから伝わる価値観に根ざしているらしく(霊的なものを呼び寄せるとか追い払うとか)、ところ変われば美的感覚も変わるのが実感でき、興味深いところ。
なおラインナップの中にはレトロな製品パッケージの一部がデコパージュされたものもあって、インテリアとしても面白いかも。
なおラインナップの中にはレトロな製品パッケージの一部がデコパージュされたものもあって、インテリアとしても面白いかも。

もうひとつ、なかなかお目にかかれないものがシガーボックスギターやシガーボックスウクレレ。19世紀アメリカにさかのぼる、葉巻の入った箱でつくる楽器です。洗濯板とか身の回りのものを使い自前で楽器をこしらえていた当時の貧しい黒人ミュージシャンのたくましさ、スピリットがにじむようです。

シガーボックスギター。この場合は辞書みたいに分厚い本を模した小物入れがボディに

60〜70年代製が大勢を占める中古ギター/ウクレレ類も、完全無欠とまではいかずとも音楽好きにとって充分弾き甲斐のあるものや、当代限りで絶えた知られざるメーカーゆえに安価ではあるけど実は優れた一品など、探りがいのあるラインナップなので覗いてみる価値は大アリ。ギターに限らず主要アイテムならオンラインでショッピングする手もあります。
ちなみにウクレレはビクターや東芝といった家電メーカーが作ったものもあるのが意外。なんでも、かつて国内でハワイアンミュージックが流行った1950年代には、本業で用いる優れた素材を元手にウクレレ制作に手を出した会社は多数にのぼったそうで、家具屋や下駄屋までいたのだとか。そんな風に当時のマニアックなヒストリーを個々に偲ばせていることも多い品揃えがまたワンポイントです。


カリンバだけでなく、楽器類は適宜軽修理も
楽器類のほかにも昭和歌謡など昔のレコード・CD、教則本、ストラップその他、店名にある通り一見ジャンクに見えても持ち主との相性や使い方しだいで存分に輝きを放ちうる品々のありかとして、このお店のことはぜひ覚えておきましょう。店主のお宅に構えられるだけに訪問の際は要事前連絡です。
(文:古谷大典)
(写真:丸山智衣)
(文:古谷大典)
(写真:丸山智衣)
AR.M. kalimba / craft & junk
- 住所
- 東京都中野区中野1-37-7
- 電話番号
- 090-1655-7134
- 営業時間
- 14:00~19:00
- 定休日
- 水曜、不定休あり
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