
お店は東日本橋駅、馬喰横山駅から徒歩1分、馬喰町駅から徒歩3分の場所にある、アクセスの良い立地です。

3代目の小宮宏之さん。優しい笑顔でお出迎え。
その当時、日本の庶民が使う傘といえば、油を塗った和紙を竹の骨組みに貼った「番傘」が一般的で、鉄製の骨に絹や綿などの生地を張った「洋傘」は、一部の限られた層しか持つことのできない高級装飾品でした。そうした時代背景のなかで、小宮商店は創業者・小宮宝将さんの出身地であった山梨の甲州織の生地を使った一流の洋傘作りをはじめました。

小宮家を三代にわたって支える、ベテラン職人兼スタッフ・石井健介さんの修業時代の写真(1961年)。 (写真提供:小宮商店)
雨傘、日傘、晴雨兼用傘を取り揃え、軽量傘や自動開閉の傘など、種類豊富にラインナップ。骨の数も8本、12本、16本、24本から選ぶことができます。
また、店頭には傘の知識を心得たアンブレラマスターの資格を持つ販売員さんも在籍。使う人の体型や趣向、ライフスタイルからその人にあった傘を一緒に選んでくださいます。

オンラインショップよりも実店舗の方が品揃え豊富。カラーに関しては、店頭に出し切れていないものもあるそう。
そう話してくれたのは、広報担当で店舗スタッフも務める加藤順子さん。ご実家も傘屋さんだったという彼女は、子供の頃から手作りの傘を使うことが当たり前だったそう。

傘のさまざまな知識を教えてくださった、加藤順子さん。

木漏れ日が美しい影を落とす、涼しげな花柄刺繍の日傘「Floral Lace」(¥20,900)。伝統的な手法を用いつつも、ファッションとして幅広い層が楽しめるテキスタイルです。

いいものを「均等」に「早く」作れて一人前といわれる傘職人の世界では、本物の職人になるまで10年もの月日を要するともいわれています。(写真提供:小宮商店)

小宮商店の職人さんは現在10名ほど。生地を裁断した職人が仕上げまですべての工程を担当します。上は80代のベテランから、下は20代の若手まで。長く培われてきた技術はしっかりと継承されています。(写真提供:小宮商店)
傘を開くときに手を添えて上に押し上げる「ロクロ」とよばれる部分には、怪我をしないように生地をしっかりと覆い(ロクロ巻き)、骨の関節で生地に当たる部分には生地が汚れたり擦れたりしないように、小さく切り抜いた生地をひとつひとつ縫い付けています(ダボ巻き)。
その他にも10以上もの細かな工程をすべて手仕事でこなすため、1人の職人が作れる傘は1日4〜5本。さしてみると、丁寧に縫い付けられた布地はピンと張り、うっとりと眺めてしまうほど美しく仕立てられています。

つくりのよい傘の証ともいえる、美しいロクロ巻き。

ダボを生地で保護するダボ巻きの様子。すべての骨に施します。(写真提供:小宮商店)
特に小宮商店で創業当時から人気のある「甲州織」の生地においては、数少ない昔ながらのシャトル織機で1日に4mほどしか織れない希少なもの。高密度でつい触れたくなるシルクのようになめらかな肌触りで、光沢感のある美しい仕上がりは、持つ人の佇まいまでも凛としたものにしてくれます。

雨晴兼用シリーズの「かさね」は、甲州織の生地を使ったロングセラー。撥水加工・耐水加工とともに、UVカット加工も施した生地は表と裏の色が異なる色になるように、二重で織られています。カラー展開は10種類。好きな色を探してみて。

「かさね」シリーズは折りたたみ傘も販売しています。
小宮商店の作る東京洋傘のなかの一部は伝統工芸品としても認定されており、長年務める職人さんも伝統工芸士としてその技術を高く評価されています。

(写真左)表は無地で裏はボーダーになるように二重で織り上げた甲州織の「裏縞」(¥35,200)、(写真右)刺繍の間から入る風が涼しい、かわいらしいレースが女性的な「Floral Lace」(¥20,900)
また、傘は「末広がりの縁起物」ともいわれ、大切な人への贈り物に購入する方も多いそう。小宮商店では持ち手の部分に名入れサービスも行っています。

直彫りでも、ネームプレートを取り付ける場合でも、お値段は¥2,200。ご注文後、1週間程度で完成します。

作家さんとのコラボレーションから生まれた「かさね55cm16本骨 描き絵傘」(¥44,000)。さすと自然と笑みがこぼれる、かわいらしい生地です。
(写真・佐々木孝憲)
A小宮商店
- 住所
- 東京都中央区東日本橋3-9-7
- 電話番号
- 03-6206-2970
- 営業時間
- 10:00~18:00(水曜は~20:00、土曜は~17:00) ※土曜は月2回営業
- 定休日
- 日曜・祝日 ※日曜は大江戸問屋祭りの日のみ年2回9:00~16:00営業