かたや霊園、かたや商業地と駅の西・東で雰囲気が様変わりする日暮里。「日暮里繊維街」は中央通りを中心におよそ90ものお店が軒を連ねる、東側の目玉と言える存在です。
その規模は全長およそ1.6キロと長く広範囲に渡っていて、いちばん遠くまで歩き進めた頃には最寄駅がもはや日暮里だか三河島だか鶯谷だか、その辺りが怪しくなってくるくらい。
その規模は全長およそ1.6キロと長く広範囲に渡っていて、いちばん遠くまで歩き進めた頃には最寄駅がもはや日暮里だか三河島だか鶯谷だか、その辺りが怪しくなってくるくらい。

今でこそ一般を対象に小売を扱っているものの、かつて卸専門だった時代の名残なのか店構えの眺めや店内の陳列は総じてプロユース感が強く、ともすればやや無機質。ある程度その道に詳しい人がお目当てを探しに行くならともかく、まだよく知らない人がふいに見つけた生地や柄にハッと心ときめくような事態はやや起きにいかも、です。
でも「MOMO」は、ぜひ。内装や陳列の統一感に優れているなかでする品定めはインスピレーションにも恵まれそうだし、かつ最も駅近とあって便利だからです。
でも「MOMO」は、ぜひ。内装や陳列の統一感に優れているなかでする品定めはインスピレーションにも恵まれそうだし、かつ最も駅近とあって便利だからです。


英国ウィリアム・モリスの独創的な柄
ロールものを中心に一部ハギレも含めた生地類、また生地から仕立てられた洋服やマスクなども並ぶ店内。肌触りを重視しているのもありラインナップは麻、絹、ウールといった天然素材がほぼ全てです。なじみのあるイタリア産やフランス産に加え、リトアニアなどヨーロッパの北方で生産されたものも実は多いもよう。お店独自に染め上げたオリジナルファブリックも。
長年のサーフィンですっかり色黒な店主・都筑久美雄さんは、仕事はやはり繊維関係という両親のもとで育ち、アパレルへと卸す生地メーカー勤務も経るなど、繊維や生地に関するあらゆることについてひと通り自分の体で覚えた自負とともにこの店を営んでいます。
長年のサーフィンですっかり色黒な店主・都筑久美雄さんは、仕事はやはり繊維関係という両親のもとで育ち、アパレルへと卸す生地メーカー勤務も経るなど、繊維や生地に関するあらゆることについてひと通り自分の体で覚えた自負とともにこの店を営んでいます。

絞り染め、柿渋染め、タイ伝統のシルクの手織。往々にして意外なほど手間がかかるそれらの手法や、でもそれでしか実現できない魅力もまたあること。実体験に基づくそういった知識の豊富さで、服をみずから仕立て上げるのに慣れたミセス層、また洋裁を教える講師といった顧客から頼りにされ続けて今やかれこれ20年です。

絞り染め。染液に浸してできる模様がまさしく一点モノ

柿渋染めは、年月を経るごとに色濃くなるのも楽しみ

原宿的ストリート感の手拭いも。珍しい
実は都筑さん、その濃い肌色は伊達ではなく、なんとサーフィンの世界ジュニアチャンプを育てたパパとしての顔も。
湘南に育ち、青年時代夢中になったこのスポーツを子ども達にも教えるようになると、彼らはやがてめきめきとその才能を開花。長男・百斗(ももと)さんと長女・有夢路(あむろ)さんは揃ってプロサーファー、おまけに有夢路さんに至っては去年ジュニア世界大会を制覇し、世界各地を股にかけたワールドチャンピオンシップツアーの大舞台への参加権を得るまでになっています(!)。
湘南に育ち、青年時代夢中になったこのスポーツを子ども達にも教えるようになると、彼らはやがてめきめきとその才能を開花。長男・百斗(ももと)さんと長女・有夢路(あむろ)さんは揃ってプロサーファー、おまけに有夢路さんに至っては去年ジュニア世界大会を制覇し、世界各地を股にかけたワールドチャンピオンシップツアーの大舞台への参加権を得るまでになっています(!)。

麻製とあって涼しく夏向けなマスクも
これまでに至る見事な実績をあげ続けてきた子ども達への父のサポートは年を追うごとにその本気度も高まり、数年前には藤沢・鵠沼海岸にあったMOMOの姉妹店すらたたんでしまったほど。
水泳で活躍した北島康介選手の実家(同じく荒川区のお肉屋さん)みたいに、一流サーファーきょうだいの父の店としてMOMOに熱い注目が注がれるようになるのも、そう遠くない話かもしれません。
(文:古谷大典)
(写真:丸山智衣)
水泳で活躍した北島康介選手の実家(同じく荒川区のお肉屋さん)みたいに、一流サーファーきょうだいの父の店としてMOMOに熱い注目が注がれるようになるのも、そう遠くない話かもしれません。
(文:古谷大典)
(写真:丸山智衣)
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