四谷荒木町めぐり。次第に落ちていく感覚は他では得られません
東京の山の手方面は坂道も数多いですが、ここのはかなり独特。というのも、なんとすり鉢やアリ地獄の巣みたいなかたちをした、他にはちょっと見当たらない形状をしているからです。
四谷駅と四谷三丁目駅を結ぶ大通りに面したあたりだとまだ傾斜も緩く気づきにくいものの、居酒屋やスナックの風情につられてどんどん歩き進めるうちに、やがて傾きが急になってきます。
四谷駅と四谷三丁目駅を結ぶ大通りに面したあたりだとまだ傾斜も緩く気づきにくいものの、居酒屋やスナックの風情につられてどんどん歩き進めるうちに、やがて傾きが急になってきます。
そうしてお店の数も少なくなり、複雑に入り組んだ細い路地、それに階段が5ヶ所も6ヶ所もある異界のような住宅地の一帯へと至るのです。
道中は迂回で通る車もなければ静か。かつてここで花開いた花柳界の光景の名残も感じられたり、雰囲気があります。
道中は迂回で通る車もなければ静か。かつてここで花開いた花柳界の光景の名残も感じられたり、雰囲気があります。
谷底へのアプローチは駅方面以外からも様々ですが、場所によってはS字を描いてウネウネと下へ進む道もあれば、パリのモンマルトルの丘にあるものに割と似ている階段もあったり。それから崖も。
土地の区画も複雑で、先が見通せなくて。ここを訪れるなら迷うのをあえて楽しむくらいの覚悟が必要かも。
この界隈を歩く面白さはこういった「くぼ地へ向かう感じ」とか「谷底感」を実感できるところなわけですが、その途中で立ち寄りたい具体的なスポットもいくつかあるので、以下ではその辺りを見ていきましょう。
池は谷底のシンボル / 津の守弁財天
谷底感を実感できるのがここ。弁天様とそのかたわらに「策(むち)の池」が広がります。もとは松平家の上屋敷がここにありました。
徳川家康にもゆかりのある、古くは江戸時代から「江戸八井」のひとつとして庶民にしたしまれてきた由緒正しき場所です。
徳川家康にもゆかりのある、古くは江戸時代から「江戸八井」のひとつとして庶民にしたしまれてきた由緒正しき場所です。
雨水も最終的にはここに溜まるのか、なんて早合点をしてしまいそうですが、なみなみと浮かぶ水がやっぱり象徴的で、「谷底にきた」感をもよおしてくれることでしょう。
大きな地図で見る
地域の氏神様 / 金丸稲荷神社
この一帯にあるもうひとつのやんごとなき存在がこのお稲荷様。本格的に坂が始まる前の場所に位置しています。
狭い土地柄、入口もまたごく細い路地沿いなのが荒木町らしさです。
狭い土地柄、入口もまたごく細い路地沿いなのが荒木町らしさです。
この特殊なまちを今日に至るまで守り続ける霊験あらたかさに、思わず敬礼。
大きな地図で見る
坂上の小休憩場所 / 荒木公園
上述のお稲荷様の隣には、こんなちょっとした広場も。ひと休みする場所のによいでしょう。
大きな地図で見る
お祭りも行われる平らな大通り / 杉大門通り
ここは珍しくまっすぐ向こうが見通せるまちの大通り。すり鉢が始まるところからわずかに西にそれたところに位置していて、外苑東通りとほぼ並走しています。
夏の盆踊り大会も行われ、その機会に地域の人の風情に触れるのもよいでしょう。
夏の盆踊り大会も行われ、その機会に地域の人の風情に触れるのもよいでしょう。
大きな地図で見る
下ってなるほど、くぼ地ワンダーランド
世にも珍しい地形の四谷荒木町は、東京でも屈指のナチュラルで不思議な世界。あくまで住宅が大半なので、訪問時はくれぐれもお静かに……!
この記事で紹介したスポット
