まるで東京とは思えないほど緑豊かな深大寺周辺。神代植物公園の開園とともに徐々に賑わってきたこの深大寺エリアには、名物の深大寺そばが味わえる名店や甘味処、お土産屋さんなど20以上のお店が軒を連ねています。
そんな賑やかな門前町の一角に位置する「むさし野深大寺窯」は吉田実・馬場信子夫婦によって、昭和32年に創業しました。終戦から10年あまり、深大寺周辺で細々と作陶し続けてきた夫婦が東京では珍しい楽焼をメインに始めた工房。店内は土間が広がる味わい深い空間です。
現在の店主・馬場良太郎さんはこのお店の3代目。約20年前に工房を引き継ぎました。
「私は生まれたときからずっと深大寺周辺に暮らしています。この豊かな緑と湧き水に恵まれた町の良さは、大人になってしみじみと感じられるようになりました。うちの陶芸体験の魅力は『ふらっときて、ふらっとできるところ』。かしこまらずに、陶芸を身近に楽しんでもらえればと思います」
深大寺歴は46年目という店主の馬場良太郎さん。わからないことがあれば、優しく教えてくださいます。
陶芸のコースは、20分で焼き上がる「らくやきコース」、本格陶器の絵付が体験できる「本焼きコース」、粘土から作る「手びねりコース」、以上3コースをご用意しています。
「陶芸をはじめてから20年ちょっと。陶芸は焼成の工程があるので、最後まで自らの手で作れるものではありません。完成するまでどんなものが作れるか、想像がつかないのも魅力のひとつですね」(馬場さん)
今回は創業当時から一番人気だという、作ったその日のうちに持ち帰ることができる「らくやきコース」を詳しくご紹介します。
1、ベースとなる素焼きを選ぶ
生地は置物や器、マグカップなど、なんと100種類以上のなかから選ぶことができます。それぞれのプライスカードに書かれている値段は、焼きあがりまでの金額。わかりやすい価格設定もうれしいポイントです。料金は後払い制なので、生地を選んだらすぐに絵付けを始められます。
2、絵付けをする
白い生地を選んだら、空いている席に座って絵付けをスタート。まずは、どんなデザインにするか、鉛筆で下書きをしてみましょう。悩んだらお店にある図案を見て考えるのもひとつの手。絵の具は10色、筆の太さも種類豊富に用意されています。筆立ての焼きあがりの色を参考に、思いのままに色を塗ってみましょう。
図案を見ながら下書き。消しゴムを使って、書き直すことも可能です。
筆で底から絵の具をすくって、水気を切ってから塗っていきます。
3、焼成
絵付けが終わったら、窯があるカウンターへ。お会計を終えたら、作品をお店の人に預けて、窯で20分焼いてもらいます。
70年前から形を変えて使われてきたという歴史ある窯。温度は約1,000℃で熱します。
4、完成
待つこと20分であっという間に完成! 焼きあがった作品はその日のうちに持ち帰ることができます。待ち時間は店内を離れてもOK。深大寺周辺を散策したり、思い思いの時間をのんびり過ごしたら、閉店時間の17時までに商品を取りにいきましょう。
簡単に短時間で楽しめる、むさし野深大寺窯の陶芸体験は、家族連れにも大人気なんだとか!
また、むさし野深大寺窯では陶芸体験のほか、プロの職人さんが製作した陶磁器や土鈴も種類豊富に販売しています。
創業当時から変わらずに手作りされている土鈴は、ファン多し。取材時には、来年の干支にちなんで丑(うし)の土鈴を製作中。手作業で色付けしているため、個性豊かな味わい深い仕上がり。
深大寺に訪れた思い出作りに、またお土産探しにぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
(文・北居る奈)
(写真・佐々木孝憲)
- 住所
- 東京都調布市深大寺元町5-13-6
- 電話番号
- 042-483-7441
- 営業時間
- 10:00~17:00(陶芸体験の受付は16:00頃まで)
- 定休日
- 木曜(祝日、繁忙期は営業)
最終更新日:2020.11.24
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