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表情・所作があまりに生き生き。ひとり芝居も必見の「指人形 笑吉」

good mornings

公開日 2020年12月19日

指人形の制作、さらにそれらを操る小芝居までもが、ここではただひとりの男性の手によって見事に完結しています。もともと子どもの絵画教室を開いていた露木さんですが、なんでもある時、レッスンの題材に何気なく選んだ人形づくりに自らがどハマりしてしまったというのです。

千駄木駅
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「谷中ぎんざ」それから「よみせ通り」と、日暮里駅から千駄木駅にかけては退屈とは無縁の商店街続き。

そのかなり千駄木寄りの、商店の数もだいぶ落ち着いてきた辺りで小さなわき道にそれると左手奥にある「指人形 笑吉」。生々しいまでのリアルさをたたえた指人形自体はもちろん、それらが実際に動いた時のようすもまたいやに人間ぽくて、一挙一動、たやすく感情移入してしまうものがここでは待ち受けています。
メインを成す数々のおじいちゃん人形ほか一体一体の浮かべる表情の、なんと複雑で繊細なこと。それぞれがそれぞれの置かれた状況を、時を止めたまま、いつまでも生き続けているかのようなのです。

血潮感はそのままに瞬間冷凍されたみたいなその絵面を俯瞰する心地はかなり不思議なもので、レトロなフランス人形などでは見られない細やかな感情が、人形の数だけここには渦巻いています。
むかし話に出てきそうな和装の人形に限らず、歴代首相、あるいはサブちゃんとかプレスリーとか、古今東西の人物がひしめき合うこの場は展示施設であると同時に工房であり劇場であり、それら全てがたったひとりの手によって独学の末に手掛けられていると聞けば、これはただならぬ驚きです。

主宰者の露木光明さん。縫製工場を営むこの家の生まれである彼は、家業を継ぐかたわらかつて子ども向けの絵画教室も開いていて、プラグラムの一環としてたまたま選んだ指人形づくりがことのほか面白く、子ども以前にガイド役たる自分自身がすっかり夢中になってしまった、というのが今に至ることの始まりです。

絵以上のやりがいもあり「これだ」と思った彼は、20年前の2000年にこのスペース「指人形 笑吉」を立ち上げ、以来、指人形の制作や実演を手掛けています。
造形を習っていたわけでは全然なくとも、絵で培った技術、またきっとそれ以上に持ち前の美術的能力のなせるワザが、紙粘土にもよく似た「石粉粘土」を元手に体温ある顔かたちをものの10分で浮かび上がらせるのですが、さささと終始素早い手指の動きに迷いがないあたりがやはり才人の域と思われます。
この手指は器用過ぎることに人形を操ることにも長けていて、その動きのリアリティたるや、指人形と聞いてイメージするそのだいぶ先を行ってしまっているほど。人差し指に頭、親指・中指に片腕ずつをあてがった両手指でもって巧みに操られる二体は、もはやふたりの小人です。

時として北斗神拳のスピードで交わされる両者の掛け合いなど、緩急ゆたかなアニメ的面白さも含んだ「指人形笑吉劇場」は、約30分間で10以上のショートコントがテンポよく展開される内容になっていて、このほど10月にはじまった公式YouTubeチャンネルでもその魅力がサンプル的に小出しされています。

外国人にもよくわかるようにと、終始パントマイムで

照れる相手にラブレターを手渡すシーンが、男女の首と両腕を適宜動かすだけで一転、浮気の証拠が見つかり激怒されるシーンにもできるというのも凄くて、演じ手としての機微を理解した露木さんならではの人形づくりの一例と言えるでしょう。

ものの見事に、攻守逆転

顔写真支給のもとで行うオーダーメイドの指人形制作(似顔絵ならぬ「似顔指人形」)、さらには彼の操る指人形がサインペンを手にその場であなたの似顔絵を描いてみせます、なんていうサービスまであって、谷根千めぐりの楽しみはここに立ち寄ることで確実にその幅が拡がるはずです。


(文:古谷大典)
(写真:小島沙緒理)

指人形 笑吉

住所
東京都台東区谷中3-2-6
電話番号
03-3821-1837
営業時間
10:00~18:00
定休日
月・火曜(祝日は営業)
最終更新日:2020.12.11
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