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おいし香ばし豆菓子は130年来の文京まちかど味覚 | 石井いり豆店

good mornings

公開日 2021年1月16日

樋口一葉ほか文学界のビッグネームともゆかりある界隈で明治二十年より営まれているお店です。新調されてもなお昔ながらの雰囲気がよく保たれた店頭に並ぶのは落花生、大豆、そら豆などを用いた豆菓子で、それぞれにおいしそう。

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文京区は読んで字のごとく文のみやこ。学生・教官ら東大関係者の定番として知られる飲食のお店が有名な本郷界隈など、学校に関連して地域は全体的にアカデミズムが身近です。

その隣町・西片(にしかた)にかけても歴史に名を残す文学者がかつて住まいとしていた例がちらほら見られ、長くゆるやかな菊坂沿いには樋口一葉がお金に困るとしばしば通ったという質店の建物が今なお残っています。

さらにそこからおよそ100メートルのところにあるのが、今も昔も坂下の交差点から表通りへと抜ける際におのずと店前を通ることになる「石井いり豆店」。創業明治二十年(1887年)というから、時系列的にみて、一葉も一度ならずたびたび店頭を覗いていったものと考えられているお店です。
節分も控える冬は豆菓子としていちばんのシーズン。12月に新米ならぬ新豆が入る大豆ほか、収穫時期的にもフレッシュでおおむね最も味わいよいものが店には並びます。

素煎りと塩味の二種がある落花生、豆まきにも向く袖振(そでふり)大豆といった素朴なものはもちろん、そら豆を揚げて味をつけた「カレー豆」や「わさび豆」、落花生からつくられ見た目までよく似た「紅梅豆」や「たこ焼き豆」、甘くしたものでは冬場限りで登場の甘納豆、また夏目漱石(彼もまた東大ゆかりの人物)も好んで食べていたという「落花糖」も。落花生に砂糖がけされた一品です。

商品として最古参ながらネーミング的にいちばんひねりのある「おろのけ豆」、それに「バター豆」とか、どんな味なのか興味をそそられてしまう人は多いことでしょう。

五代目の石井雄貴さん。化粧箱や包装紙にも味わい

上から時計回りにわさび豆、カレー豆、袖振大豆、素煎り落花生、落花糖

販売しているすぐそばで専用機械を使い行われる豆煎りの作業も、繁忙期ともなればごく頻繁。動きの早いゆりかごのような動きでサッササッサと三拍子を刻みながら大量の豆が転がされ、30分60分と経つうちに煎りたてのあたたかな香りも立ち上ってきて、専門店ならではの豆の誘惑がいよいよ本格化します。

こたつでぬくぬくしながら、ひと粒またひと粒。みかんやお餅と並び豆菓子は「絵になる冬の食べもの」の筆頭格、だとは思いませんか。

煎ったのち、硬さなどから不良品をはじく作業を

煎られるようすも丸見えなのが一層そそるこの機械は、石炭をくべて火を起こしていた当時と機構的にはまったく変わらないもの。耐震補強で家屋まるごと解体する大規模修繕を行った十年前、全く新しいモダンなものに切り替えることもできたのに、これをあえて昔通りのままイチから新調したものがきょうも元気に稼働中です。「煎り具合の微妙なさじ加減を調節するノウハウもあくまでこの機械があってこそ活きるものだから」と、石井さん一家は古いものをそう簡単に捨て去りはしないたちのようです。

かつて二代目も空襲避難用にかぶっていた鉄かぶとを戦後「麻袋に入った豆を取り出すのに丁度いい」と商売道具に転用し使い続けていたほどで、これまた2021年の今なお奥の棚からスッと取り出される現役の品。

照明に内装に、可能な限り昔のままを再現した修繕を経て朽ちかかった要素は皆無、という一方で後生大事に扱われる商売道具たちがいぶし銀の輝きを放つ。そんな老舗風情の漂う店内です。

四代目に挟まれて、五代目夫婦。134年目を迎えて

「落花生なら煎り立てをぜひ」と風味が最大限よい状態で味わえるよう、回数をかける手間をいとわずに都度煎っては店頭に並べ、を繰り返す雄貴さん。「豆なだけにマメじゃなきゃ」と冗談のようで本気のフレーズをたびたび口にしていたと伝え聞く二代目のひいおじいさんの生き写し、とコレは思われますか? お父さま!


(文:古谷大典)
(写真:小島沙緒理)

石井いり豆店

住所
東京都文京区西片1-2-7
電話番号
03-3811-2457
営業時間
9:30~19:00
定休日
日曜日・祝日
平均予算
[夜]¥2,000~¥2,999 [昼]¥1,000~¥1,999
最終更新日:2021.6.14
データ提供:食べログ
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