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嗚呼、真的中国茶! おやつも本場譲りの「甘露」で知る中国文化の良心

good mornings

公開日 2021年5月3日

西早稲田のこのモダンな喫茶空間が供するのは中国茶と薬膳スイーツ。桃膠(タオジャオ、桃の樹液)ほか、現地で飲まれ食されるメニューは好奇心をそそるものだらけ。甘露の立ち上げメンバーによる中国語教室や定例の文化サロン、さらに鍼灸院も。

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新大久保のコリアンタウン、ミャンマー人コミュニティのある高田馬場。東京で外国人がたくさん住んでいるエリアといえば、その筆頭格は新宿区です。ひと目でそれと判る現地風情丸出しの飲食店もこのところ随分と増え、扉の向こうに待ち構えるひと皿がどんなだか今ひとつ見当つきかねては少しワクワク、なんてことも少なくありません。

早稲田大学近辺の、学生街らしい飲食店の点在する目抜き通りも留学生に関連してか多国籍感を帯びていて、この雰囲気は遠く高田馬場駅まで続く格好。途中、西早稲田のあたりでわずかに路地に入ったところにある「甘露」にはぜひとも立ち寄りたいものです。中国茶および薬膳スイーツからなるそのメニューは、そのいちいちが日本ではほとんど知られていない、見た目・味わい共に中国ならではの優美さが感じられるものなので。

優しい甘さの小豆、蓮の実とユリの根をトッピングした中国のミルクプリン、双皮奶(シュアンピィナイ)はホットでも

茶葉の入った茶壺(チャフウ。急須)を溢れ出るまでお湯で満たしたのち、潮時を見計らって茶海(チャーハイ。ピッチャー)へ。これを各自の茶杯(チャーベイ)へと注ぎ、その薄い飲み口からすすってはひと息。お茶うけのナツメをかじれば素揚げされていてわずかにハードな食感。そんなアクセント、この寛ぎ、中国喫茶ならではです。

緑茶、白茶、烏龍茶、黒茶といった各ジャンルに分類されるここのお茶は全部で26種。広東省発、マスカットを思わせる爽やかな香りの「嶺頭単欉(れいとうたんそう)」。雲南省発、微生物発酵茶で赤ワインのような口当たりの「宮廷老散茶」。福建省発、ジャスミンが花開くときのごとく香る「龍珠花茶」等々、南部を中心にかの大陸の各地で育まれたお茶のバリエーションの実に豊富なこと。
日本では使われないものも含め漢字続きでスラスラとは読めないながらも、名前を目で追うにしたがい何がしかのイメージが膨らんでくるところも新鮮。

「夜来香(イエライシャン)」など、字数にしてわずか三つの文字がかき立てる夢というのがあります。

旧正月に家庭で飾られる民間芸術「年画」

現地で見られる茶館のようなお茶が揃う一方、スイーツ類もまた同じ理由で誘惑が多く、ここはひとつ、併せて試さないことには後ろ髪を引かれる思いでお店を後にすること必至なのです。

桃の樹液の優しい甘みを楽しむ「桃膠(タオジャオ)」は、お店の甘味類でももっともスタンダードなものの一つで、滋養・美容効果も。牛乳、白キクラゲ、白玉などをお好みで加えたり、また温めて頂く手もあります。

ナツメと白キクラゲの桃膠。クコノミも浮かぶ

このほか甘い点心・糕(ガオ)の中にはキンモクセイを用いたものがあったり、小豆のおしるこ・紅豆沙(ホンドゥシャァ)は漢方でも活躍する陳皮(オレンジの果皮を干したもの)が香るものであったり。焼き菓子も含め全30種ほどのこれらの顔ぶれはいずれも、大陸の各地方ごとに異なるローカルスイーツからのより抜きであり、和菓子に比べ総じて甘さが控えめ。

お茶と一緒に食べることに決めたはいいものの、何に絞るかがこんどは悩ましく、早くも再訪を考えてしまうことになるはずです。
かたわらに中国語書籍なども見られる甘露では中国語を学ぶ教室も開かれており、甘露の立ち上げメンバーである謝(シェ)さん改め謝老板(シェ・ラオバン)が講師としてその専門的知見に基づく独自のレッスンを展開しています(コロナ禍に伴い現在はオンラインが中心)。

早稲田大学の院生として学んだ彼が所属していたのは日本語教育研究科。いわく「言葉というものは、そもそもがあくまで個人個人によって異なるもの」。誰しも同じテキストが与えられ画一的にその習得を目指すばかりでは学ぶ意欲も損なわれるのは当然。結果、言葉も満足に身につかない、というわけです。
だから、自分がこの言語を学びたい、と思ったその動機に即した学び方が大事。初歩的な会話などをひととおり身につけたなら、その後は学ぶ側が「知りたい」と思うに至ったマンガや小説のワンシーンを取り上げるなど「今に生きる中国語」を学ぶレッスンが行われます。

個々の場面やセリフに浮かび上がる生活文化や習慣、あるいはSNS上のムーブメントやそこで展開される言葉の数々から浮かび上がる、中国ならではの感性や思考様式。無料カウンセリングを通じて学ぶ側のこころざしを汲んだ謝さんの設計による「自分だけの中国語」がここでは身につけられるのです。

60年以上前の中国語教育の古典は座右の一冊

語学教室のほか気軽に参加できる文化サロン「金曜日は中国語!」、またある時は遼寧省、ある時は安徽省などと中国各地について現地出身者がローカルトークを繰り広げる「中国お国自慢大会」といった催しも開催。去る3月23日にはカフェフロアの上階にはり、きゅう、マッサージを施す甘露治療院もオープンしたばかりで、何千年という時を経て培われた知恵で身体をいたわることもできるようになっています。

中国をめぐる私たちの理解は、地理的な近さにも関わらず、漢字文化圏としてのルーツがそこにあるにもかかわらず、まだまだ進んでいないどころか、安易なステレオタイプに翻弄されてしまうようなこともしばしば。その本当の姿を知るための手がかりは、この半地下の、一見して素敵な雰囲気が察せられるお店にあります。
(文:古谷大典)
(写真:小島沙緒理)

甘露

住所
東京都新宿区西早稲田3-14-11
電話番号
03-6823-5484
営業時間
11:30〜18:00
定休日
木曜日(月に2回ほど木曜日以外にもお休みをいただきます。SNSをチェックしてください)。
平均予算
[夜]¥1,000~¥1,999 [昼]¥1,000~¥1,999
最終更新日:2021.7.29
データ提供:食べログ
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