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おいしさありきの本当のヴィーガン食への扉。「VEGAN STORE」鈴木翔子さんが創る食と農の未来

good mornings

公開日 2021年5月29日

西浅草にあるヴィーガン専門のコンビニ&ファミレス。現状国内ではただひとつと思われます。見た目・味わいともに目からウロコの生姜焼き丼ほかを開発・提供するオーナーの鈴木さんは、日本の食と農に少なくないインパクトを与えうるプロジェクトにも着手しています。

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自然環境を守るため。動物愛護のため。身体がアレルギー反応を起こさぬよう。また宗教的動機に基づく場合も。肉なし魚なし卵なしミルクなしのヴィーガンライフを実践、と聞けば、日々の買い物ひとつとっても難しいだろうし、お肉への執着も果たして捨て切れるものか……志す当人もそれを見守る側も、今ひとつ心もとない気持ちを覚えて当然でしょう。

食用はじめ、現代社会では動物性のものがゆるぎないデフォルト資源として利用されることも多いだけに、ひとたび他の手段を、となるとなかなかにハードルが高そう。一部活動家のアクションなど、熱心が過ぎるあまり非寛容で外部に手厳しそうな負の人格イメージがついて回るところさえあります。
西浅草にあるVEGAN STOREは目下、おそらく国内に二つとないヴィーガンの専門店。一階はコンビニ、二階はファミレスとして利用できます。まだまだ世に知られていない様々な食品を買ったり食べたりすることが可能で、時には宇宙食のように物珍しい(?)ものも。

ヴィーガンをめぐる理解も自ずと正しく更新される、いわば発見の機会がここにはあります。

フルーツグミ、フルーツ&ナッツバーほか、お菓子類

「きくいもチップス」などお店のオリジナル商品は、季節や旬に応じたその時々の顔ぶれ

冷凍コーナーにはデンマーク発「ナチューリ」のプラントベースミートも。えんどう豆などが原料

キャロットジュース「vivo」(愛知県新城市)。玄米を用いた「土のミルク」(岩手県遠野市)。国内各地の小規模農家/企業による特色ある産品も

農薬なし肥料なし除草剤なし。あらゆる工程が手作業の自然農法で作られたmaison KOIWAI(メゾン コイワイ)の納豆(長野県長野市)

海外では既にお馴染みの発酵ドリンク「KOMBUCHA」(昆布茶ではないのです)に興味を惹かれ、タンパク質・ビタミン・ミネラル豊富なチーズ風味の栄養補助食品「ニュートリショナルイースト」の使いみちに思いを巡らせ、はたまたカップヌードルを見つけたりヘアケア用品・雑貨類を手にとってみたりもする店内。

焼き芋、おでんと並び有機カシューナッツバターも。マシンからその場で作り立てのがペースト状で出てくる

土に還る素材・ジュートを用いたECOタワシ

エシカル(倫理的)ライフを促すためのグッズ。バッグに取り付け日頃から街や電車で世の関心を喚起

そしてコンビニ部門以上により大注目すべきがレストラン部門で、各種メニューが「ほんとにヴィーガンのお店で合ってますよね?」と繰り返し確認せずにはいられないレベルのシズルとルックス。巷ではよく肉もどきとかフェイクミートとか言いますが、ここで供されるものは、肉なしにしてはよく頑張りましたと減点評価するのも土台ナンセンスな、新しい味わいです。そしてそれが素直に美味しいのだから。

自慢の生姜焼き丼は「おからこんにゃく」が豚肉の代わりに出てきて、その、肉のようでよく見ると違う、けれどお世辞抜きにこれはこれで別の満足がある、そんな噛みごたえと味わいです。別途トッピングできる「卵」も実際にはマル秘のオリジナル開発食品であり、ぷに感といい、つつくことで膜が破れ中身が出てくるさまといい、味といい、本物の卵そっくり。ぜひプラスするが吉です。

生姜焼き丼(+トッピングの「卵」)。おからこんにゃくのケースに限らず、「肉」には多方面でホンモノを上回る栄養価を含ませられるという

ここで使われるマヨは1階でも買える米マヨネーズ。物足りなさも別段感じられないコレを罪悪感なくしっかりと絡めて食べる一杯のどんぶりには、思わず首をかしげてしまうほど申し分ない満足感が。他にも豚キムチ丼とか麻婆丼とか、一品ごとにこの手の新体験が待ち受けているかと思うと。

なお丼もののほかにはバーガー系も。さらに最近ではフードロス食材を使った味噌、醤油、塩、とんこつの各種ラーメンが、ヴィーガンラーメンとしては破格の一杯税込880円で食事メニューに加わっています。

OmniMEATバーガー。しいたけ、えんどう豆、大豆、米で作られた植物性代替肉(プラントベースミート)を歯応えある米粉のグルテンフリーバンズとともに

1階フロアのアイテムにも共通することですが、これらの食品はいずれも飲み込んだ後に残る余韻がごくわずか。スッと風のように消え去るのが印象的です。逆に普段の食事の後で残る後味は多くの場合、化学調味料に含まれるアミノ酸によるものなのだそうで、それだけ私たちはその強いインパクトに慣れきってしまっているようなのです。

2Fのレストランスペースはキッチン併設。ヴィーガン関連セミナー、料理教室等の開催も

「ヴィーガンって何?という人にこそ、ぜひ」とレストラン体験を推す鈴木翔子さんは、言わずもがなこれらメニューの開発者。グローバルミーツ合同会社を一昨年前に興し、持ち前の、ほとんど未来人といって差し支えないキレキレのビジョンを携えて、地方の優れた有機農や自然農、および栄養価も高いその産物が現代の産業経済の中できちんと活かされるよう、その手腕を発揮しています。

最近では長野県木島平(きじまだいら)村において村長はじめ村全体とタッグを組み、とある壮大なプロジェクトに手を付けようとしているとか。店を運営する姿は仕事師としての彼女のほんの一部分に過ぎないのです。

こんにちレストラン等では、ベジタリアンやヴィーガンメニューがいち選択肢として用意されるケースが増えてはきたものの、そのクオリティはというと、野菜本来の旨味が活かされず砂糖や油に頼ったいびつなものが少なくありません。おいしさの点は妥協してナンボ、との印象が広まり、ヴィーガン食に対する世の関心そのものが低まりかねない状況を前に、鈴木さんは先の「卵」のような食べておいしく栄養も本物以上にある優れたヴィーガン食品の"発明"にも並行して力を注いでいます。

おいしくないことには広まらないし、現代人の健康や自然環境だってよくならない。真正面から考えればヒトと地球の未来をやはり危ぶまざるを得ない時代にあって、いま大手企業からの依頼で開発中の一品にも単なる商取引という以上の切実な使命感とともに向き合う鈴木さん。早ければ今年中にも商品として店頭に並ぶその味が、人々のヴィーガン食をめぐる見方、消費行動を変える一手となるように、と目論みつつこれに取り組んでいます。

食べることは生きること。食と、それに先立つ農のあり方にまで踏み込んだ一種の世直しムーブメントが、こうしてひとりの女性によって静かながらも確実な足取りのもと進行中です。世に先駆けてまいた種から、遠からず芽が出るであろうその時を心待ちにしながら。
全国を駆け巡るのと並行しての店の運営、またコロナ情勢もあって現在は金・土・日の週3稼働スタイルにてお店は営業中です。現地で見つけたor開発した、仕入れたて・作りたて商品がふいにお目見えしたりもするので、お楽しみに。


(文:古谷大典)
(写真:小島沙緒理)

ヴィーガンストア

住所
東京都台東区西浅草2-25-9
電話番号
03-6231-6252
営業時間
6:00~23:00
定休日
月曜日(月曜日が祝日の場合は営業、翌平日が休み)
平均予算
[昼]¥1,000~¥1,999
最終更新日:2021.6.14
データ提供:食べログ
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