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亡き師匠の想いを受け継いで生まれた、冨山房の本たち

世界一の本の街、神田・神保町。「冨山房」は、130年前からずっとこの地で本を作り続けている出版社の大御所だ。本を探し歩く人でにぎわうすずらん通り沿いに、その社屋はある。地下1階の喫茶店「ティールームFolio」で待っていてくれたのは、冨山房創業者の孫である四代目の奥様で、冨山房インターナショナルの代表取締役を務める、坂本喜杏さんだ。

公開日 2017年3月19日

カテゴリ
街を知る
エリア
神保町駅
ライター
good mornings
亡き師匠の想いを受け継いで生まれた、冨山房の本たち

冨山房の本作りにかける情熱は、その生い立ちなしには語れない。創業者である坂本嘉治馬さんが出版社を起こしたのは、早くして亡くなった彼の師・小野梓先生の意志を未来に繋げるためだったのだと、喜杏さんは教えてくれた。

「冨山房は、初代・坂本嘉治馬と小野梓先生との出会いから始まりました。小野先生は、大隈重信と行動を共にし、現在の早稲田大学の前進である東京専門学校を創立するなど、当時の教育・学問分野に多大なる貢献をした方。同じ高知県宿毛村出身ということで、嘉治馬は小野先生が立ち上げた「東洋館書店」に奉公するのですが、先生がわずか2年で逝去。残された嘉治馬は、亡き先生の意志を継ごうと明治19(1886)年にこの冨山房を立ち上げました。その想いと本作りが、今日の私達まで受け継がれているんです」。

冨山房の処女出版作は、創立年と同じ明治19年発刊の『経済原論』。欧米の学説を日本語で理解できる日本初の経済学書で、小野先生が手掛けた未完の本だった。この本がいかに世の中に必要とされていたのかを、3万6千部という売り上げ部数が物語っている。その後、作家の松本清張も愛読しているという吉田東伍博士の名著『大日本地名辞書』や、5年の歳月を費やして完成させた日本初の近代的国語辞書『大言海』、全15巻に及ぶ『国民百科大辞典』、その他の児童書や絵本など、約4000種の行書を刊行した坂本嘉治馬。人々の豊かな生活を彩る知識が詰まった本たちは、“本”という存在の原点そのものだ。

「恩に報いて深く考え社会のために力を尽くす。この“益世報効”の精神が私達の社是であり、本を作る上で大切にしていること。知恵をくださった小野梓先生、創業者の坂本嘉治馬、そしてこれまで本作りに関わってくださった著者の先生方に心から感謝し、社会のためになる本を真剣に作る。その姿勢は、大人向けでも子供向けの本でも変わりません」。

そんな喜杏さんは今「子供にこそ、本が必要なの」と、絵本や児童書など子供に向けた本作りに力を入れている。
「子供は本に登場する絵や文字を見ているだけで、大人が感じない何かを感じ、それを体中で受け止めている。その時の“何か”はずっとその子の心の中に染み込んでいて、人生の中のいつかのタイミングで役に立つ時がくると思うの。紙の本は絶対になくならないし、特に子供から本は絶対に切り離してはいけないのよね。本は早く読む必要はないし、一日1行だけ読むなんて方法でもいいの。本嫌いの人たちが、何かのきっかけで本に触れてくれたら」。

何気なく手にとった、本の一冊一冊に込められた想い。なんだか今までよりずっと、本に触れることが楽しくなりそうだ。

冨山房インターナショナル: http://www.fuzambo-intl.com

サロンド・冨山房ティールームFolio (サロンド・フザンボウ ティールーム フォリオ)

住所
東京都千代田区神田神保町1-3冨山房ビル B1F
電話番号
03-3291-5153
営業時間
11:00~19:00
定休日
土・日・祝
平均予算
~¥999
最終更新日:2017.5.22
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※紹介されている情報は、記事公開当時の内容となります。
※飲食店情報の平均予算は、食べログの店舗基本情報を引用しています。

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