ちくわ。 おでかけ情報

居酒屋のルーツはココだった! 創業420年の酒舗・豊島屋本店

神田に軒を連ねる老舗企業の中でも、群を抜いて古い「豊島屋本店」。その創業はなんと慶長元年(1596年)! 関ケ原の戦いの少し前から営業していると言えば、イメージがつくのではないだろうか。 その歴史を紡いでいるのが、十六代目当主の吉村俊之さん。420年間も商売を続けられたのは、先人たちの血の滲むような努力があってこそだと吉村さんは語ります。

公開日 2017年3月22日

カテゴリ
グルメ
街を知る
エリア
神保町駅
ライター
good mornings
居酒屋のルーツはココだった! 創業420年の酒舗・豊島屋本店

「先代から『短期的な利益ではなく、お客様と長く続く信頼関係を作れ』と強く言われてきました。うちはこれまで、明治維新、関東大震災、第2次世界大戦と三度、会社の危機に見舞われているんですが、そのたびに『豊島屋が困っている』と助けてくださった方々がいらした。先人達が築き上げてくれた御縁の繋がりの上に今日が成り立っているのだと、日々感謝しています」。

創業の地は神田橋と鎌倉橋のほとりの川岸。当時そこは「鎌倉河岸」と呼ばれ、江戸城のすぐ外側であることから武士や職人、商人など様々な人達で賑わっていたそう。最初は関西から酒(下り酒)を仕入れて売っていたが、吉村さんの曾祖父さんにあたる12代目・吉村政次郎さんが発起して明治中期から酒造りがスタート。現在は、東京西部の東村山の酒蔵(豊島屋酒蔵)にて造られるオリジナルのお酒を販売しており、看板銘柄である『金婚』は、神田明神や明治神宮といった大きな神社にお神酒として納められている。

“東京で最古の酒舗”というだけあり、豊島屋は酒にまつわる色々なルーツと言われる。その一つが「居酒屋」だ。
「お酒を売るだけでなく、お客さんからのリクエストで店頭で“おつまみ”を提供し始めたのが居酒屋のルーツだと言われています。有名なおつまみは豆腐田楽だったのですが、豆腐に塗る味噌を辛めにして酒が進むようにしたり、空いた酒樽を味噌屋やお醤油屋に売ることで利益を得て、そのぶん提供する酒代を安くする、といった工夫が功を奏して繁盛したようです」。
また雛祭りの時に飾る「白酒」を広めたのも豊島屋と言われており、江戸時代後期に発行された観光誌的な書物『江戸名所図会』の1巻には、豊島屋の前で白酒を買うために集まる人々の様子が描かれている。素晴らしいのは、白酒が生まれたことで、雛祭りの時だけは女性も堂々とお酒を飲むことができるようになったこと!そういう意味では、豊島屋=“呑兵衛のルーツ”とも言えそうだ。

そんな歴史は大切にしながら、新しいことにも積極的に挑戦する吉村さん。「一年に一品は新商品を出したい」と話す通り、最近では外国人観光客を意識したパッケージがインパクト大な羽田空港限定のお酒『羽田』や、創業者の名前を冠した純米酒『十右衛門』、発泡性の日本酒『綾』などが次々にデビュー。なかでも『綾』は、若い女性を意識した商品で、デザインもかわいい。

吉村さんもさぞお酒が好きなのかと思いきや「私はあまり飲めないんです(笑)」と意外な回答。さらに吉村さん、40歳前後までまったくお酒とは無縁の生活を送っていたのだそう。
「もともと家業を継ぐ意識が薄く、半導体の研究者をずっとやっておりました。父も化学の研究者、祖父も銀行員を経て家業を継いでいるので、うちは少し変わっているかもしれません。お酒の知識は圧倒的に少ないけれど、外の世界を知っていることで第三者的に家業を見ることができているかなと思います。特に新しいことへのチャレンジは、失敗を恐れずに積極的にやっていくべきだと思っています。半導体の基礎研究なんて10個のうち1個でも上手くいけば良いぐらいでしたから(笑)。うちの行動指針は「不易流行」です。松尾芭蕉の言葉と言われ、守るべきもの(不易)は頑なに守り、変えるべきもの(流行)は大胆に変えることを旨とします。そのバランスが大事と考えます。私の仕事は、創業500年を迎えることができる基盤を作り、次世代に渡すこと。500年を迎える時は、あの世から見ていようと思っています」。

江戸の酒文化を作り上げたといっても過言ではない豊島屋本店さん。江戸・東京の地酒を堪能してみては?

豊島屋本店

住所
東京都千代田区猿楽町1-5-1
電話番号
03-3293-9111
営業時間
9:00〜17:00
定休日
土日祝
最終更新日:2017.3.17
大きな地図で見る

※紹介されている情報は、記事公開当時の内容となります。
※飲食店情報の平均予算は、食べログの店舗基本情報を引用しています。